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双子の女神

俺たちには女神がいる。

この世にこんなに素晴らしい人がいて、しかも近くで過ごせるなんて……ここは地上の楽園か?

と、良く双子の姉と話している。


俺も、姉のアンジュもすっかりリリーナ様の虜だ。

ある意味リリーナ教なんてものがあったら絶対信者になっている自信がある。

ただ最近ちょっとアンジュと意見が違う事があるのだ。


最近の俺は偶にリリーナ様が……その……か、可愛く見える時がある。

アンジュにその事を言うと意味あり気な視線で「アレンもついに参戦するのね〜」と言われた。

何が、とは言わない。

俺はリリーナ様の隣に立てる男になれるだろうか?


今、リリーナ様に1番近いのは悔しいがクリストファー様なんだろうなぁ。

地位もあるし、年上だし、リリーナ様を甘えさせられるような包容力ってやつもありそうだ。

でも、俺だって手をこまねいているわけにはいかない。

俺がリリーナ様にアピール出来る点と言えば……この拳だ!


リリーナ様は俺の手刀に興味津々だ。

気になってもらっている点がちょっとおかしいが、それこそリリーナ様だ。

俺はリリーナ様に付き添って魔物狩りに行くことが多い。

というか、ほぼ毎回付き添っている。


この間も領地内に発生したスライム型の魔物を狩りに出かけた。

強くはないのだが、数の多さと倒しにくさが問題だった。

スライムの弱点はその体内にある核なんだが、これが動くのだ。

だから倒すときは素早さが要求される。俺とリリーナ様にはある意味うってつけだった。

その時も結局ほぼ俺とリリーナ様で倒した。


リリーナ様はさすがの剣技だった。

そのリリーナ様が俺がスライムと対峙している時にじっと見つめてきたのだ。


俺はもちろん素手でスライムと戦っていた。

絶え間なく体内を動く核を見定め素早く拳を撃ち込む。

核を傷つけられたスライムは形を維持することが出来なくなりその場で崩れていった。


「さすがですわ!アレン様のその拳から繰り出される技!」


リリーナ様は嬉しそうに俺の拳を両手で触った。


「この拳からあの技が出されるのですね!」


そう言うとリリーナ様は俺の拳を撫で回した。

リリーナ様は、今まで接してきた男性がレオンや兄上であるリカルド様ぐらいのせいか男性への危機感というものが欠落しているようだ。

そんなに簡単に男の手を握って、撫でたりしたらダメだろう?

ましてやリリーナ様に好意を持っている俺にそんな事をしたら……。


だが俺はここで恥ずかしがってリリーナ様を振り払うようなバカな事はしない。

だってせっかくリリーナ様自ら俺に触れてくれているのだ。

この幸せを長く感じていたいだろう?

俺はリリーナ様の気がすむまで手を触ってもらった。


「……あっ。」


リリーナ様がやっと俺の手を触りまくっている事実に気がついた。

リリーナ様は今までずっと触っていた事が恥ずかしくなったようだ。


「あ、あの、アレン様……その、こんなに触ってしまって申し訳ありません!」


あれ?

少しは俺のこと意識してくれているのかな?

リリーナ様は頬を少し赤くして俺に謝ってきた。


「いえ、リリーナ様に興味を持ってもらえて嬉しいですよ。あと、前から気になっていたんですが俺のことはアレンでいいですよ。俺に様付けなんて必要ないです。」


「え、でも……」


「今の俺はリリーナ様にお願いしてこの領地で世話になっている身分です。それなのにリリーナ様に様付けされるとちょっと困ってしまいますよ。」


俺はわざと困った顔をして見せた。

するとリリーナ様は決心したのか俺の名前を呼んでくれた。


「わ、わかりました。ではア、アレン。これでよろしいですか?」


リリーナ様が慣れないながらも呼び捨てしてくれた。

うわ〜、思っていたよりも嬉しいな。


「はい、ありがとうございます!あとは俺に敬語もいらないので今後はそちらの改善もお願いしますね。」


俺の言葉にリリーナ様が困った顔をしている。

その顔も可愛いな〜、と思ってしまうのは完全にリリーナ様に惚れている証拠だろうか。

っていうかよくこんなに可愛いリリーナ様にあんな態度とれたよな、レオンは。

確かに女性恐怖症は他人には理解が難しいけど、だけどリリーナ様の為なら何かは出来たんじゃないのかな。

レオンには悪いけど俺はリリーナ様の為なら何だって出来る!

そのぐらいリリーナ様のことを尊敬しているし、今はそれ以外の感情も芽生えている。

ライバルは正直多いと思うけど負けるつもりはない。

でも、1番の願いはリリーナ様の幸せという事は変わらないから、出来れば俺がリリーナ様を幸せにしたいな。



ーーその頃


領地の屋敷では仲良くなったアンジュとサナがおしゃべり中


「……というわけでうちのアレンが参戦することになったんですよ〜。」


「あら、アレン様は今頃参戦を決めたのですか?前から攻めていると思っていましたが……」


「まあ本人は自覚がないまま無意識でしてたんじゃないかなぁ。」


「今ならクリス様もお国に帰ってますしチャンスではないですか?」


「 そうなんですよ〜。絶対頑張ってもらわないと!もしアレンがリリーナ様と結婚となれば……リリーナ様が私の義妹。……ふふ、幸せ過ぎて死んでしまいそうです〜〜!!」


「アンジュ様も暴走しがちですね。……私としてはリリーナ様を幸せにしていただける方ならどなたでもいいですわ。早くそんな方が現れればいいのですが。」




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