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わずか1ヶ月ぐらいの間にいろいろあった。

レオン様の婚約破棄宣言に、クリス様とのまさかの再会。

公爵の反乱に、アレン様とアンジュ様との出会い。

長くレオン様と婚約している間には何も起こらなかったのに、婚約破棄という話が出てからの怒涛の展開。

私はちょっと感覚がマヒしているようだ。

だって今も目の前でワケがわからないことが起きているんだもん。


「……というわけでリリーナ、どれにしましょうか?」


何がどれにしましょうかしら?なの。

何で私の目の前にはこんなに高く積まれて今にも倒れそうなモノがあるの?


「オカアサマ、これは一体何事なのでしょうか?」


思わずカタコトになっちゃったよ。


「うん?見たらわかるでしょう?お見合いの絵姿よ。一緒にお相手の詳しい紹介文も添えてあるわよ。」


……一体何件分あるのかな〜。

私が途方に暮れているとサナが助け舟を出してくれた。


「リーザ様、今までレオン王子のお相手で大変だったリリーナ様にいきなりこの量の絵姿を見せられてもたぶん選べないと思います。」


「そうね〜、でも結構良さ気のもあるわよ。凄いわね、リリーナ。レオン王子と婚約破棄が成立したとわかった途端これよ。中には他の方と婚約してたはずの方もいるのだけど……これは捨てちゃっていいわね。」


そう言うと母は三分の一の量の絵姿をサナに片付けるように指示を出している。

え、三分の一の人は婚約者がいたの?

いくら政略のためとは言え、あまりにも誠意が感じられない。


「さあ、これで少し減ったわね。次はどうやって振るい落としましょうか?」


何故か振るい落とすことを楽しんじゃってるよ。

母はきっと私の為に新しい婚約者を早く見つけようとしてくれているのだろうけど、今は正直考えられない。

それに……。


「お母様、私よりも先にお兄様の婚約者を決めた方がよろしいのでは?この領地はお兄様が継ぐのでしょう?」


「……リカルドねぇ。あの子の相手が務まるような子がいるのかしら?」


母は遠くを見つめてしまった。

あれ?結構まずいの兄の婚約者選び?

兄はいろいろアレだけど、次期辺境伯だろうし、今は騎士団の隊長もしてるし、レオン様と仲良しだし、顔だってソコソコだと思う。

なのに何故婚約者が決まらないの?


「お母様。今まであまり疑問にも思っていなかったのですが、お兄様の婚約者候補ぐらいはいらっしゃるんですよね?」


私はせめて候補ぐらいはという願いを込めて聞いてみた。


「……一応いたわ。」


「お母様何故過去形なんでしょうか。」


「そんなのもう過去の話だからに決まっているじゃない。」


あ、触れちゃいけないところに触れたみたいだ。

ちょっと母が興奮している。


「あの子ちょっと……いえかなりの猪突猛進タイプでしょう?貴族のお嬢様にはあまり好かれない性格なのよね。どう見ても貴公子タイプにはなれないでしょうし。あのままのあの子と一緒にいてくれて、なおかつこの魔物の出現率の高い地域で一緒に領地経営を手伝ってくれそうな骨のある貴族のお嬢様なんてそうそういないのよ。」


母は私に愚痴りながら、チラッチラッとサナを見ている。

どうしたのかな?

サナと言えば母の視線に居心地悪そうにしている。


「はあ、どこかにあの子をわかってくれて一緒に領地経営、ついでに魔物狩りまで出来る優しい女性はいないかしらね〜〜。」


今度はあきらかにサナを見ながら話している。

……標的はサナなのね。

確かにサナだったら兄のしつけも出来るし、この領地のことだってわかっている。それに強い!

あれ、これは決まりなのかな?

あの調子だとサナは気づいた時には外堀をこれでもかと母に埋められていそうだ。


「まあ、リカルドの話はこのぐらいにしておいて。リリーナ、あなた正直どうしたいのかしら?いろいろ遊んでみたけどこんなレオン王子と婚約破棄したとわかった途端にお見合いの絵姿を送ってきて、今まで交流もなかった人達なんて興味ないでしょう?」


そう言うと母はお見合いの絵姿を全て片付けさせた。


私はきっとあまり心が育っていないみたい。

いろいろな教育は受けてきたけど、こと恋愛に関してはわからないことが多すぎる。


「お母様、私はよくわからないのです。この間クリス様から婚約の申し込みをされた時嬉しい気持ちはありましたが、すぐに頷けなかったのです。きっと心のどこかで本当に私はこの人のことを好きになることが出来るのかしらと考えてしまっていたと思います。自分でもどうしたら良いのか……。」


「リリーナ、不安になる気持ちはわかるわ。私だってリーフに会うまでは誰かを好きになるなんて思わなかったもの。でもね私はリーフのことを知る度に気持ちが抑えきれなくなったわ。リリーナだってきっとそういう時がくる。レオン王子との婚約はいろいろ事情があって断ることが難しかったけど、今後はそんなこと起きないわ。だからあなたの大切な人を見つけなさい。」


母はそう言うと部屋を後にした。



私はこの後誰と一緒に生きることを選ぶのだろうか。

今まで恋愛なんてしてこなかった自分にまさかあんなことが起こるとはこの時誰も予想出来なかっただろう。私はもちろんあの人も。



一旦ここで話を区切りたいと思います。

次からは違う人の視点からや、番外編を少し書きたいと考えています。

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