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閑話 ある公爵の事情

私は国を守らなければならない。


それが貴族として生まれた私の使命だ。


だが、私は……。



私の名前はアイン・ガヴェイン。

ガヴェイン公爵家の当主だ。



「親父、何であんなことしたんだよ!あんたがあそこまでしなくてもこの国はそうやすやすと滅びたりしないだろう?」


この言葉使いが悪い子は、私の次男のアレンだ。

やっとこの間見つけて公爵家へと向かい入れた。

双子の姉アンジュと共に。


「……今すぐに滅びたりはしないだろうな。しかしレオン王子への不信感、こう呼んでいいのかわからんがこれは大なり小なり貴族は感じていた。時が経ち大きくなり過ぎた不満が爆発するよりは、小さなうちに潰れた方が被害は少ないだろう。」


「だからって他にもやり方があっただろう?」


ずっと平民として育ってきたせいか、貴族のように回りくどい言い方を好まないこの子を私は気に入っている。


「アレン、旦那様をあまり困らせないであげてちょうだい。」


アレンがあまりに私に食いついてくる為かアレンの母であるそして私の大切な女性、アリシアが止めに入ってきた。

以前私は自分が不甲斐ないばかりに大切な女性と子供を失いかけた。

そして後悔をしていたはずの私はまたその大事な家族を、貴族の誇りを守るために利用したのだ。




私には政略結婚をした妻がいた。

しかし結婚はしたがこの妻との間に愛情はおろか信頼すらも育たなかった。

せめて子供がいれば違ったのかもしれないがそれすらも望めなかった。

彼女は自分の都合だけで子作りを拒否したのだ。

理由も聞いてあきれるものだった。

自分の体型を崩したくないという理由で子供を産むことを拒んだのだ。

離縁の理由に申し分ない理由だったが、ここで妻がある提案をしてきた。


『私の侍女と子供を作って、私が産んだことにしましょう。』と。


私は最初はもちろん断った。

しかし、離縁というのも世間的にあまり認められていない。

妻に産む気がないならその方法が1番早いのではないかという安易な考えに傾いてしまった。


その侍女というのがアリシアだ。

アリシアは妻の従姉妹になるそうだが実家が没落してしまい、困っているところを助けられて侍女をしているということだった。

アリシアは妻にどことなく顔つきが似ていた為、これならバレないだろうと産んでもらったのが長男のアレクだ。

待望の後継に公爵家の使用人も大喜びだった。


しかしその妻はアレクが5歳の時に浮気相手と手を取り合い家を出て行った。

結局アレクが生まれてからも世話など一切せずにだ。

アレクの世話はアレクの実の母であるアリシアがずっとしてくれていた。

そんなことが起これば自然とアリシアに惹かれるのは当然のような気もする。

私はこの頃にはアリシアを愛していたのだと思う。



妻が出て行き離縁の手続きをして独身となった私の元へ、見合いの話がきた。

こんな妻に逃げられるような男の元へ嫁がせようとするなんて馬鹿げていると、その話は一蹴したのだが運悪くその話をアリシアに聞かれていたのだ。

アリシアは有り余る行動力でその話の3日後に公爵家を出て行った。

私宛に残されていた手紙にこう書き記して。


『旦那様へ


今まで大変お世話になりました。

新しい奥様をお迎えになられるというお話を聞きました。

私がいたのでは邪魔になってしまいます。

私は旦那様が次の奥様と一緒にいる姿を冷静に見ることが出来ないと思います。

なので、手紙で失礼かとは思いましたがお別れのご挨拶とさせていただきます。

本当にありがとうございました。旦那様とアレクと一緒に過ごした日々は私の宝物です。


さようなら


アリシア 』



私が仕事で2日程家を空けている間の出来事だった。

家の者に聞いても誰も行き先を知らなかった。

それに私は知らなかったのだ。

この時アリシアのお腹の中に双子の命が宿っていたことを。



私は何年もアリシアを探し続けていた。

ある時、レオン王子がお忍びで町に出て行ったことがあった。

たまたま見かけた私はコッソリついて行ったのだ。

この時はただの気まぐれだった。王子に何かあっても困るとも思ったが。

するとそこでアリシアの面影に似た子供を見たのだ。

私は無意識のうちにその子の後をつけた。

今にして思えば、かなり怪しい行動だ。


しかし、つけた甲斐もありアリシアを見つけることが出来たのだ。

しかも双子もセットで。

この日は久しぶりに興奮して眠れなかった。


アリシアにはあのお見合いの話は受けていなかったことを説明し、今一度一緒に過ごしてくれるか問いかけてみた。

アリシアは微笑みながらゆっくり頷いてくれた。


家族で幸せに暮らせる。

そう思ったが、この頃貴族の間で不穏な動きが見てとれた。

私は大切な家族を政治の道具に使ってしまったのだ。



そして今がある。

私はアレンやアンジュに申し分ないと思ってはいるが後悔はしていない。


それに領地で永蟄居だなんて、今の私にしてみれば褒美のようだ。

今まで共に過ごすことが出来なかったアリシアと一緒の時を過ごせる。

なんて贅沢なのだろう。

私の我儘に巻き込んでしまって申し訳ないがアレンとアンジュには自由に生きてほしい。

そして偶には顔を見せてほしいと願うのはやはり我儘だろうか?




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