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「さあ、もういいでしょう。お2人には退場していただきます。」


公爵が兵士達に指示を出している。

そろそろ出て行きますか。


「………でしょう。」


うん?何か聞こえる。

公爵も聞こえたようで王様達の方を見た。


「貴方、私達と宰相に恨みがあるだけでしょう?」


レイチェル様が公爵を真っ直ぐ見つめて言い切った。


「ふん!何を言うかと思えば戯言ですか。」


「戯言ねぇ。まず私達への恨み、私との縁談が流れたこと。それから宰相への恨み、これはレオンの婚約者がリリーナに決まったことと貴方ではなく宰相をしていること、そして宰相の息子のリカルドが騎士団の隊長をしているところね。」


「………何を言っているんでしょうか?私はこの国を憂いてのこの行動で…」


「なら何故このタイミングなの?正直レオンが国を継ぐのはまだまだ先よ。そして今のままなら継ぐことも難しいわ。今反乱なんていたずらに国を混乱させるだけでしょう?それに貴方の娘のアンジュ嬢だったかしら。ついこの間公爵家に引き取ったという話だったわね。今から王妃教育を受けて大丈夫かしら?あのリリーナですら今まで時間がかかったのよ。」


「ふん!そのリリーナ嬢が問題なのでしょう!レオン王子はリリーナ嬢と上手くいかないではないですか。夜会などでは一緒にいるわけでもないし、いくら王妃教育を優秀な成績だったとしてもレオン王子と2人で一緒にいることが出来ないのであればそれも無駄というもの。」


「………だから邪魔なリリーナをこの機会に亡き者にしようとしたのかしら?レオンが婚約を破棄したことを知った貴方は領地に帰る途中のリリーナとその侍女を襲わせたのね。」


公爵は不敵な笑顔で答えた。


「何のことですかな?証拠でもあるのだろうか?憶測で人を犯罪者扱いはやめていただきたい。」


すると今まで黙っていた王様が話し出した。


「憶測ではないぞ。証言者がいるのだよ。公爵、お前が姿を隠してリリーナ嬢を襲うように指示を出したところを見た者がな。」


「はんっ!そんな証言者なんていい加減なことを。それならその証言者とやらを連れて来ていただきたい。まあ、しかしこんな状態ではそれも難しいですかな?」


公爵はおかしそうに笑っている。

途中までは国の為とか言ってた人とは思えない態度だね。

さてそろそろ出ますか。

気づかれないように周りこんで一撃で倒していかないとね。

私が出て行くことをレオン様とアレン様に伝えようと2人の方を振り向くと同時に私の横を誰かが通り過ぎて行った。

って、えーーーー!



「おい!公爵!父上と母上を離せ!それから何よりも許せないのはリリーナを殺そうとしたことだ。俺が叩きのめしてやる!」


レオン様〜。

何であんなに無茶しないで下さいねって言ったのに出て行っちゃうんですか〜?

耳ついてますよね〜。

聞こえてましたよね〜。

あーーもう!完全に失敗だ。


アレン様が小さい声で「すいません」と謝っている。

うん、アレン様が悪いわけではないよ。

私だって戦いの場面になったら守ってあげてねっていう意味だったし。

それを無駄にしてくれた。



「これはこれはレオン王子。どこから現れたのですか?探していたのですよ。」


「どこからでもいいだろう!さあ、早く父上と母上を解放しろ!」


公爵は呆れたようにレオン様に語りかけた。


「レオン王子、この兵士達を見ても戦いを挑んでくるのですか?良く考えてごらんなさい。貴方の腕ではこの数には太刀打ち出来ないでしょう。それよりもリリーナ嬢と婚約破棄をしたそうですな。我が娘アンジュから聞きましたぞ。最近はアンジュと一緒にいることが多いと聞きましたぞ。この際アンジュを妃に迎え王になられてはいかがかな?」


「ふっ、俺に傀儡になれと言うことか。冗談じゃない。今の俺は王の器などではない!だいたい父上の治世に何の問題があると言うんだ!」


……なんかレオン様がかっこいいこと言っているけど、確かさっきアレン様が公爵はレオン様が私に対していろいろ拗らせているのが問題って言ってなかったっけ?


「ふむ、やはりレオン王子を再教育するのも難しいらしい。ここは仲良く3人ともご退場いただきますかね。皆さんもご存知の通り我が公爵家には王家の血も入っていますからね。大丈夫ですよ。3人が流行り病で国を治めることが難しいということになれば国民も信じてくれますよ。」


いよいよ危険だ。

人質が3人の状態で15人相手か。

ギリギリかな。

私はアレン様に目配せをした。

アレン様も小さくうなずき返してくれた。


私とアレン様は公爵の死角になっているところから音をたてないようにスッと謁見の間に入った。

誰もこちらを見ていない。

私は短いスカートを幸いとして一気に兵士へと間合いを詰めた。


私は素早く剣を引き抜き1番近くにいた兵士を一撃で沈めた。

アレン様も同様に兵士を……あれ?手刀デスカ。

アレン様は剣ではなく自らの手刀で兵士の首を狙い昏倒させている模様。

まさか魔物相手にも肉弾戦だったんですか!

これは是非後で話をしていただきたい。


アレン様の技に見惚れている場合ではない。

私も相手が構える前に2人倒した。

しかしここであちらも私の姿を見つけたようだ。


「お前は、リリーナ嬢か!それに……何でここにいるんだアレン!」


公爵が叫んだ。

さすがに人質3人のすぐ近くで剣を持っている兵士に突撃はかけられない。


「バカ親父……国の為って言ってたくせにかっこ悪いぞ!それにリリーナ様を襲撃しようとするなんて本当にバカだな。」


「アレン、お前。親に向かってバカとはなんだ!ふんっお前なんぞアンジュが手に入れば用はないのに引き取ってやった恩を忘れこのようなことをするなんて恥を知れ!」


「誰が引き取ってほしいなんて言った!俺もアンジュも平和に暮らしていたのにお前が……。まあ、でもリリーナ様に会えた事だけは感謝するけどな。それだけだ。」


アレン様は吐き捨てるようにそう言った。

アレン様とアンジュ様は公爵の反乱に利用されたのね。

ぬぬ、どうしてくれよう。


「しかし、リリーナ嬢のその姿はどうしたのですかな?ドレスが破れていて、とても淑女の格好とは言えないですな。」


公爵は嫌な物を見るような目でこちらを見た。

誰の所為だと思っているのかな。

私は公爵の言葉には反論せず周りを見渡した。

……残り公爵を入れて9人。

最悪あの手でいこうかな。







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