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準備も出来たし、まず私も謁見の間を見てみますか。


「レオン様私も謁見の間を見させてもらえますか?実際に反乱軍の配置を確認したいので。」


「ああ、わかった。そこの角を曲がってすぐの扉だ。スライドさせると扉が動く。見た目に反して軽いからすぐに動くぞ。」


私は1人角を曲がり、言われた通り扉をスライドさせてみた。

本当に軽い。非常用の為そんなに使ってないはずなのにこの軽さは凄い。

何の音もなく扉が横に少し動いた。

隙間から謁見の間を見てみた。

位置的に目立つ場所ではないらしく分厚いカーテンの裏側ということもあり誰も気づかない。

たった1人を除いては……。


レイチェル様がこちらを見ている。

最初からこの場所を知っていたからだね。

私の顔を見て微かに笑った。

反乱軍にバレるとマズイと思ってか、他の人にはわからない程度に。

レイチェル様の唇が動いた。

『ダイジョウブ』

うん、レイチェル様が大丈夫と言っているならきっと大丈夫だ。

大嫌いな王妃教育の一環ではあるが読唇術をマスターしておいて良かった。


ざっと周りも確認してみる。

確かに見える範囲には15人だね。

ただちょっと少ないかな。

もしかしたら城の中にまだまだいるのかも?

実際レオン様の部屋には5人来たしね。


あ、そういえばあの5人が帰って来ないこと公爵に怪しまれるかなぁ?

帰って来ないから追加の兵士を送っていたりして。

隠し通路は閉じてきたからここのことはバレないと思うけど。

ところで公爵はどこかな?


目を凝らして見てみると、何やら兵士を集めて偉そうに話している。

何を話しているのかな?


『何?王子が部屋にいなかっただと!逃げられたのか……。他には誰もいなかったのか?……そうか。よし、城の中をくまなく探せ!門は閉じているから外には出ていないはずだ。』


ありゃ、レオン様が部屋にいないことバレてる。

でも、隠し通路はバレていないようだからレオン様はこのまま隠れていただいていれば良いか。

ところで兵士っぽいのはいるけど、公爵の協力者っていうのは見当たらないなぁ。

貴族じゃないのかな?

とりあえず見える範囲のことはわかった。

一旦通路に戻ろうかな。

でもその前にもう一度レイチェル様を見てみよう。


レイチェル様は愛用の扇をビシッバシッと鳴らしている。

捕まってはいるけど拘束されているわけではない様子。

コワイ……たぶん近くで見張っている兵士も目を合わせないけどちょっと……。

よし、早く助けよう!

私はレイチェル様に向けて『出来るだけ早く助けます』と口を動かした。

それを見たレイチェル様がニッコリ笑った。

わかってます、私頑張ります!


急いで通路へと戻った私に2人はビックリした顔をした。


「ど、どうした?何か起きていたのか?急いで戻って来たようだが……。」


「いえ、まだ動きは見られません。しかし早く救出いたしましょう!レイチェル様がご立腹です。」


「は、母上が怒っているのか?まあ、普通に考えれば怒る……か?怖がっているわけではなくてか?」


「はい!扇をビシッバシッと近くの見張りの兵士も目を合わせないほどです。」


レオン様が顔を引きつらせながら「そうか」と短く返事をした。

さて私1人で行った方が良いような気はするけど、レオン様が納得されないよね。

でも、レオン様に何かあると困る。

そういえばアレン様はどうするのかな。


「アレン様。今から王様とレイチェル様を救出しようと思うのですが、アレン様は公爵をどうしたいのですか?レオン様のところに危機を知らせに来たということはレオン様の味方ということでよろしいのでしょうか?」


「俺は……リリーナ様の味方です!正直バカ親父は興味ありません。あいつは半ば無理やり俺とアンジュを公爵家に引き取ったんです。公爵家にはもう男児がいるから今まで見向きもしなかったくせに。たぶんアンジュが目的だったんです。自分の血が入ったアンジュをレオンに嫁がせる為に。だからこんな騒ぎまで起こしたバカ親父はしょうがないんだと思います。ただ、言い訳をさせていただけるなら異母兄はこの反乱には関わっていないはずです。あの人は良い人過ぎます。」


公爵家の男児って……確か騎士団の副隊長。

兄のお守りの人だ……。


「あ、あの〜、アレン様のお兄様って騎士団の副隊長されてますか?」


「はい!リリーナ様の兄上の補佐役を務めさせていただいています!」


「そ、そうですか。それは苦労されてますね……。あの、申し訳ありません。」


私は心の底から謝った。

大変だよね、反乱なんてやってる場合じゃないよねお兄さん。

なんかここでちょっとテンションが下がった。


気を取り直していこう。


「レオン様、今から救出に向かいますがお約束下さい。絶対自ら危険な目に会いに行かないで下さい。失礼を承知で言いますがレオン様より私の方が強いです。ただ反乱軍の人達はどうやら私のことはあまり知らないようですね。なのでその油断をついていきたいと思います。捕まっているお2人が心配だとは思いますが、冷静になって下さい。」


私は失礼な物言いを承知で言い切った。

ここでもしレオン様まで捕まったら面倒だもの。


「……わかっている。リリーナの方が強いことなどあの時からわかっていたことだ。追いつくことが困難な存在だということも百も承知だ。だが、いくら強いと言ってもリリーナは女性だ。リリーナだけを戦わせることなど出来ない。」


やっぱりそうきたか。

この際私が女性だということは忘れていただきたい。


「リリーナ様!俺、リリーナ様に助けられた後からずっと訓練してきたんです。人間相手にどのぐらい出来るかわかりませんが少しぐらいなら手助け出来ます!」


アレン様まで参戦してきた。

うん?アレン様の言葉ちょっと疑問点があるのだが。


「あの、アレン様。人間相手にどのくらい出来るかわからないとおっしゃっていましたが、訓練では何を相手にしてきたのですか?」


「え、もちろんリリーナ様を見習って魔物ですよ!俺、魔物狩り上手くなりましたよ。最初の頃は1人では難しかったですが、今は1人でも狩れますから」


何を見習ったの?

それってかなり強いんじゃないかな。

よし、それならレオン様を守ってもらおう。それが良い。

私はアレン様にだけ聞こえるぐらいの小声で伝えた。


『私は大丈夫ですのでレオン様を守って下さい。その方が集中出来ます。』


『わかりました。リリーナ様の頼みです。必ず守ります。』


アレン様は笑顔で快諾してくれた。

これで大丈夫そうかな。

ちらっとレオン様を見てみると私とアレン様が小声で話していたことが不満だと顔にかいてあった。

よし、見なかったことにしよう!



私達はもう一度謁見の間へ続く扉へと向かった。

扉を開けて中の様子を確認してみた。

何やら話し声が聞こえる。


「さあ、王よこれ以上私を失望させないで下さい。王と王妃には退いていただき秩序ある王家にしていきたいのですよ。もうすぐ隠れているレオン王子も見つかることでしょう。大丈夫です、心配しないで下さい。レオン王子の教育は最初からやり直しますよ。徹底的にね。妃には我が娘アンジュを据えます。元はと言えばあのリリーナという娘が婚約者になってからレオン王子の奇行は始まったのだ。レオン王子が婚約を破棄してくれて良かったですよ。」


ふむ、私とレオン様の悪口か?

レオン様の奇行を私のせいにするのはいかがなものかと。

断固抗議したい。




前に感想欄であと少しで終わると書いてみたのですが……すいません、終わらないです(泣)

申し訳ありません。見通しが甘かったです。

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