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「反乱って、一体公爵は何を考えているんだ。」


レオン様が呟いた。

たぶんショックだよね。

こんな自分の部屋にまで入り込んで来るなんて。


「ごめん、レオン。まさかこんなことまでするなんて思ってなかった。俺が気づいた時にはもう遅かったんだ。たぶん王様や王妃様のところにも兵が行ってるはずだよ……。」


「何!父上や母上のところにもか?一体警備はどうなっているんだ。」


「前から計画していたらしくバカ親父の協力者っていうのが城の中に何人かいるらしい。」


うーん?

それにしてはあまりに警備がお粗末過ぎないかな?

いくら協力者がいるにしてもこんなに上手くいくかな。

正直、王様についてはわからないけどレイチェル様がこんなこと気付かないなんてありえない。

レイチェル様の諜報部隊は優秀なのだ。

まあ、それを知っているのは一部の人達だけだけど。

でも、何が起きているにしろここにいたところでまた反乱側の兵士が来るかもしれない。


「レオン様、ここに居てもまた反乱側の兵士が来るかもしれません。どうなさいますか?城を脱出いたしますか、それとも……」


「父上達を救いたい。難しいかもしれないがここで逃げても父上達を人質取られれば同じことだ。」


私はその言葉を聞き自然と笑顔になってしまった。

ここで逃げるという人なら速攻城の外に放り出して私1人で動いていた。


「承知いたしました。レオン様は必ず私がお守りいたします。」


「リリーナ……気持ちは嬉しいんだがたぶんそのセリフは普通男のものじゃないかな。」


「ぷーー。」

私達のやり取りを見てアレン様が吹き出した。


「ははっ、すいません笑って。リリーナ様は変わらないなぁと思いまして。」


変わらないって、会ったことあったけ?

残念ながら覚えていない。

私が困っているのを気づいてかアレン様が教えてくれた。


「前に一度だけ会ったことがあるんですよ。俺と姉と母の命を助けてくれました。リリーナ様には本当に感謝の気持ちしかありません。出来ればこんな時ではなくきちんとお礼を言いたかったのですが……。」


命を助けた……か。

ということは領地での魔物狩り関係かな?

王都に来てからは暴れてないし、人の生死に関わることには手は出していないはずだ。

アレン様の言葉にレオン様が反応した。


「アレン、リリーナに会ったことあるなんて聞いてないぞ。」


「うん、だってレオンには言ってないもん。」


さっきから思っていたけどアレン様はレオン様に敬語は使わないのね。

仲がいいのね。

アレン様はここで大きく息を吐いて私の方を見て話し出した。


「リリーナ様、こんな時にこんな話をするのは申し訳ないんですが聞いてもらえますか?」


「どんな話かわかりませんが手短にお願いいたします。レイチェル様がいらっしゃるので大丈夫だとは思いますが、心配ですので。」


「はい、ありがとうございます。実は婚約破棄の話は俺からの提案だったんです。」


なるほど。

兄が言っていたそそのかした人物というのはアレン様だったのね。


「最初は親父から頼まれたんです。レオンにアンジュを近づける手伝いをしろって。親父は本気でアンジュをレオンの妻にする気だったんです。俺は前にレオンに会った時にレオンが女性が苦手なのを知っていたからそれは難しいと思いました。でも、親父はレオンがアンジュに興味を示さないのはアンジュが悪いと言って叱ったんです。だから俺は女装をしてレオンに近づきました。親父は俺がアンジュのフリをしていることを知りませんでしたから喜びました。」


公爵はアンジュ様を正妃にしたかったのね。

そういえば城でたまに公爵とすれ違うと嫌な顔されたっけ。

そういうことか。


「まあ、これが理由のひとつなんですが、もうひとつあるんです。これは俺の勝手なワガママでした。俺はリリーナ様に自由になってほしかったんです。レオンには婚約破棄をすることによってリリーナ様の愛情を確かめてみろとそそのかしたんですが、本当はレオンのリリーナ様に対する行動を知ってリリーナ様を婚約という縛りから開放してあげたかったんです。本当に勝手な思いで申し訳ありません!」


じゃあ、アレン様は私のために婚約破棄の話を実現しようとしたの?

たった一度助けられただけなのに?


「おい……アレン。」


うわ!

なんかスゴイ低い声でアレン様を呼ぶ声がするよ。

ってレオン様か。


「何?レオン。」


「何?じゃあないだろう。どういう事だ!婚約破棄を本気でさせる為に私に話を持ちかけたのか?」


「うん、そうだよ。言っとくけど俺はちゃんと最初に言ったよね?婚約破棄をしたらどうなるのか。それにレオンだって本当はわかってるんだろう?今のままでリリーナ様と結婚したって上手くいかないって。リリーナ様の事だからきっとそつなく王妃だってこなすと思うよ。だけどレオンが望むのはそういう関係じゃないんだよね。」


「………。ああ、そうだな。」


なんか……どうしよう。

口を挟みづらい。

だけど、ここでこの話をずっとしているわけにもいかない。


「よし!この話はここで終了。リリーナ様時間取らせてすいません。さあ、とっとと助けに行きますか。」


アレン様が明るく話しかけてきた。

どうやらこの雰囲気を変えてくれようとしたらしい。

そうだね、とっとと終わらせよう。いろいろと。


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