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アンジュ様……いやアレン様との出会いはわかった。

で、それが何故私との婚約破棄の話になったの?


「レオン様、アレン様との出会いについてはわかりましたわ。ただ、どうしてもわからないことがありますの。……何故私に婚約破棄のお話をされたんですか?アレン様がお好きだからですか?」


ガンッ!


あっ、今度は完璧にテーブルに頭をぶつけた。

しかもそのままプルプル震えている。

今のは痛いわ〜。兄ならピンピンしてそうだけどレオン様はダメそう。


「リ、リリーナ…私は男を恋愛対象に見たくない。」


え、だって前科持ちでしょ。

クリス様という立派な、ね。


「リリーナは私のことを……うん、今まで認めたくなくて散々いろいろやってきたけどきっと、いや絶対何とも思っていないのだろう?それこそ本当に好きでも、嫌いですらないんじゃないか?当てはまる言葉があるとしたら……それは、無関心かな。」


初めてここでレオン様が目を合わせてくれた。

その目は今の言葉が正解とわかっていても、否定してほしいようなそんな縋るような目だった。

私がここで嘘をつくのは簡単だ。

だけど今日は言いたいことを言うって決めてきたのだ。


「レオン様……たぶんおっしゃる通りなんだと思います。私はいろいろありましたがレオン様のことを嫌いではありません。だけどだからと言って好きというわけでもありません。申し訳ありませんが私には今までのレオン様行動を受けて好意を持つことは出来ませんでした。」


レオン様は「やっぱりな」と言ってまた目を逸らした。

どうやらもう目を合わせてくれないらしい。

しばらくお互いに無言が続いた。

たぶん少ししか時間は経っていないはずだが、すごく長く感じる。


と、その時部屋の外が騒がしくなった。

私とレオン様はドアの方へと視線を向けた。

バァーーーン!

すると勢いよくドアが開き、誰かが室内に入って来た。


「レオン!リリーナ様!無事ですか?!」


入って来たのは……ああ、この人が本当のアレン様ね。

今の姿は髪は短く、シンプルなズボンとシャツを着ている。

顔はやっぱりかわいい顔だと思う。スカートはいて髪が長かったら女性と見間違える。


「なんだ?アンジュ…じゃなくてアレンか。一体どうしたんだ、そんなに慌てて。」


アレン様はだいぶ慌てているようだ。


「いや、無事ならそれでいいんだ。でも時間の問題かもしれない、早くこの場を移動した方がいい。」


え?

なになにどういうこと?

私は状況が飲み込めないままアレン様を見た。


「理由なら後で説明するからとりあえず移動しよう!」


何か切羽詰まった状況のようだ。


バタバタバタッ

ドアの方から複数の足音が聞こえる。

この城の中でこんなに走り回るなんてすごいなぁ。

なんてのんきに考えていたらまた勢いよくドアが開いた。


「居たぞ!捕まえろ!」


5人の武装した兵士が部屋へと入って来た。

何なの一体?

仮にも王子の部屋にいきなり入って来るなんて……。


「一体お前達は何なんだ?ここが私の部屋とわかってのことか?」


レオン様の言葉に兵士達は答えなかった。

ただ、こう宣言した。


「我らはレオン王子を捕まえる為に来たのだ!ついでにリリーナ嬢もな。ただリリーナ嬢については逆らうようなら生死は問わないと命令されている。命が惜しければ大人しく捕まるのだな」


ほほう。

ついでな上に生死は問わないときましたか……。

しかも、たった5人。

何が起きているかはわからないけど、危害を加えると言うならもちろん受けて立ちますよ。

武器なんてそこら辺にいっぱいあるじゃない?


私は小声でアレン様に尋ねた。


『この兵士達に心当たりがあるのですね?この者達はとりあえず潰して大丈夫かしら?』


アレン様は小さく2回頷いた。

なるほど、心当たりアリ、潰してオッケー、だね。

兵士達はこちらへと近づいて来た。

前にいたレオン様を押しのけて私は前に出た。

兵士達は私が大人しく捕まる気になったと思っているようだ。


次の瞬間近づいて来た1人の腕を素早くつかみ、その兵士の背後にいた兵士達へと投げ飛ばしてやった。

反抗されると思っていなかった兵士達はドミノのように倒れていった。

その隙に兵士の持っていた剣を奪い被害を逃れていた2人をそれぞれ一撃で倒した。


兵士達は捕縛用のロープを持っていたため借用させていただいた。

ん?なんかこのパターン前もあったような?

レオン様とアレン様にも手伝ってもらい兵士達はグルグル巻きにしてやった。


「アレン様、これは一体どういうことなのかしら?知っていらっしゃるなら教えていただけないかしら?」


質問はしているが、もう問答無用で教えろよという感じで問いかけてみた。

実際かなりやばい状況だよね。


「……ふう。端的に言うと俺の気の狂った親父が反乱を起こしている状況です。」


はい?反乱?

アレン様の父親っていうと公爵っていうこと?

本当に気が狂ったとしか言いようがない。


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