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ーー次の日


天気は晴天。

今日の話し合いもこのぐらいすっきりとしたものになるといいなぁ。

昨日のうちに父と母にはレオン様と話し合うことを伝えてある。

2人とも最初は賛成しなかったが、根気強く説得をしてどうにか納得してもらった。


さてもうそろそろ行きますか。

前回はただ流されるままレオン様の婚約破棄を受け入れたが、今日は違う。

私の考えで婚約破棄をするのだ。


「リリーナ。レオン王子に襲われそうになったらヤってしまっていいわよ。」と母。


「リリーナ、お前の好きなようにしておいで。あとで王には文句は言わせないからな。」と父。


「あーっと、いや……何でもないデス。」と兄。

何か言おうとしてたけど母の刺すような視線に諦めたらしい。


見送りの中にクリス様もいた。

でも特には何も言わずただ微笑んでいるだけ。


そっかぁ、何も言ってくれないのか〜。

って、何で残念がっているのかな、私。

今はそれよりもレオン様とどうやって話し合うかが大事だよ。




さて、城に着いたけどレオン様はどこかな?

私が悩んでいると1人の騎士が話しかけてきた。


「リリーナ様、レオン王子がお待ちです。どうぞこちらへ。」


案内をしてもらい城の中を歩く。

向かっているのはどうやらレオン様の部屋のようだ。

今日は庭園ではないのね。


案内してもらいレオン様の部屋の前までやって来た。

ふ〜〜、やっぱりちょっと緊張するね。

案内をしてくれた騎士が部屋をノックする。


「失礼いたします。レオン王子、リリーナ様をお連れいたしました。」


中に入るとレオン様がいた。

まあ、そりゃ自分の部屋だもんいるよね。

今日はアンジュ様もいらっしゃらないようだ。

約束を守ってくれたんだね。


「ああ、ご苦労。お前は下がっていいぞ。」


レオン様の言葉に騎士は「はい!」と返事をして部屋を出て行った。

本来であれば部屋で2人というのはまずい。

でも話の内容が内容だけにしょうがない。


ふと視線がぶつかった。

レオン様はすぐに視線を逸らした。

お互いに何から話せばいいのかちょっと戸惑っている。

ここは先制攻撃をするしかない!


「「あの!」」


うっ、かぶった。

でも、ここでひるむわけにはいかない。

攻撃あるのみ。


「レオン様……」「リリーナ……」


む、ここでもかぶるか。

わかりましたよ!もう先に喋って下さいな!


………………。


ええーい、私達は何をやっているの?

本当にただの会話すら成立しないなんて。

とりあえず、昨日クリス様がおっしゃっていたアンジュ様の秘密から話してみようかな。

いきなり婚約破棄の話は警戒させるかもだし。


「レオン様……本日はお時間をいただきありがとうございます。少し私のお話にお付き合いください。」


レオン様は無言で首を縦に振っている。

うん、わかったからそんなに何回も振らないで!

壊れたおもちゃみたいになってるよ。


「では……そうですね、まずアンジュ様のことなんですが……」


「申し訳ない!!」


うわっ、ビックリした。

アンジュ様の名前を出したらスゴイ勢いで謝り出した。

私達は椅子に座って話しているのだが、その前にあるテーブルに頭がぶつかりそうな勢いで頭を下げている。


「あ、あのレオン様。頭をお上げください。今はまずお話を続けましょう。」


私の言葉に頭を上げたレオン様はとても情けない顔をしていた。

ダメですよ臣下にそんな情けない顔を見せたら。

珍しく感情をそのまま出すレオン様に私はとても心配になった。


「では、改めて。アンジュ様とはどちらでお知り合いになられたんですか?別に責めているわけではございません。ただ……兄からその、レオン様が女性が苦手だと聞いたので不思議に思ったんです。」


レオン様はあきらめ顔でこう言った。


「そうか、リカルドから聞いたのか……。そうだな確かアンジュと初めて会ったのは2年前になる。その時は共を付けずに1人で町に行ったんだ。将来の為にも民が今どのような暮らしぶりかを知るのに必要だと思ったんだ。そして、私の不注意でちょっと女性に囲まれてしまったんだ。自分の顔が幾分整っているせいで女性が寄ってくることは知っていて、隠していたんだが食事中に見られてな……。そこで助けてくれたのがあいつだったんだ。」


ほうほう、これはもう恋の始まりなのでは?

やっぱり私との婚約なんて破棄でいいんじゃない?

ってそれよりもこんなに長く普通に話すレオン様を近くで見るのは初めてだ。

だけど絶対私とは目を合わせようとはしない。


「その後は礼を言ってすぐ別れて終わったんだが、半年前に意外な所で再開したんだ。それがこの城の中だ。しかも公爵令嬢と紹介された、さすがにビックリしたよ。」


アンジュ様は公爵令嬢だったのね。

でも、ちょっと待って。

クリス様はアンジュ様は男性だっておっしゃっていた。

もしかして……またレオン様は間違っているの⁉︎

私が内心動揺している中、レオン様は話を続けた。


「それに私が会った姿とは違ったから余計に戸惑った。私が会ったのは男性の姿だったからね。」


ううーん?

どういうこと?

いくらなんでも男性を公爵令嬢としてレオン様に紹介するなんてマズイでしょ。

そんなのバレたら公爵だって罪に問われる。


「ああ、不思議だろう?しかも公爵に紹介された時、アンジュは私のことを全く覚えていなかったんだ。最初は知らないフリをしているのかとも思ったんだが、嘘をついているようにも思えない。それに私は女性と接すると自分の意思とは関係なく身体が震えてくることがあるんだ。その時もアンジュに会った瞬間から震えたんだ。」


ますます謎だね。

ということはアンジュ様は結局男性?女性?どっちなの。


「私が町で助けられた時は絶対男性だったんだ。なのに公爵に紹介された時は女性。ここから導き出される結論は……アンジュが2人いるっていうことだと私は思ったんだ。公爵は私には婚約者であるリリーナがいることを承知でアンジュを近づけさせようとしてきた。最初は私も避けていたんだが、公爵も諦めずに何回もアンジュを近づけてきた。しかも周りには誰もいない時を見計らって。ある時たまたまアンジュと2人きりの時があったんだ。その時思い切って聞いてみたんだ。そっくりな兄弟がいないかどうかを。」


「……案の定いたのですね。私クリス様に聞いたんです。レオン様がお兄様に引きづられて去って行った後に、残っていたアンジュ様にクリス様がおっしゃったレオン様とアンジュ様は結婚出来ないよねという言葉の意味を。クリス様はあの場にいたアンジュ様が男性だとわかっていました。」


レオン様はクリス様の名前を聞いてちょっと顔をしかめたがまた話し始めた。


「そうだ。あの場にいたのは男のアンジュ、いや本当の名前はアレン。私の協力者だよ。本当のアンジュ嬢ではとてもじゃないが新婚約者のフリはしてもらうことは出来ないからな。」


レオン様は自嘲気味に呟いた。









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