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理由はどうあれ婚約破棄をされたのは事実である。

それを誰かにそそのかされたとしてのものだとしても、是としたのはレオン様だ。

なら私が選ぶ答えは一つだけ。


「お兄様お話しはわかりました。ですが私の答えは決まっています。婚約破棄を……望みます!」


私の言葉に兄はうなだれた。

サナは満面の笑みを浮かべている。

クリス様はにっこり微笑んでくれた。


「私の言葉はレオン様に届かないかもしれません。けれど、それでも2人だけできちんとお話ししたいんです。その場にお兄様もクリス様もそれからアンジュ様も必要ありません。お兄様お願いです。私とレオン様が2人だけで話せるようにレオン様を説得して下さい。」


兄は私の言葉に少しびっくりしたような顔をしたがすぐに了承してくれた。


「そうだな……今さらだけどレオン王子とリリーナ、本当は2人きりで話し合うのが筋だよな。それじゃあ今からレオン王子のところに行ってくる。こういうのは早い方がいいだろう?」


「ありがとうございます。しかしお兄様、その身体で出歩いて大丈夫ですか?」


兄は昨日の母の鉄拳制裁でかなりのダメージを受けているはず。


「ああ、別にこのくらい平気だ。たぶん母上の血と父上の方の変わった脳筋の血がなせる技だな。俺は異様に回復が早いんだ。」


なるほど。だから毎回母にやられても懲りないのか。

それってダメじゃないかな、教育としては。



兄は早速用意をして城へと出かけて行った。

残された私たちはお互いに顔を見合わせてちょっと笑った。

そういえば今がチャンスかな?クリス様に気になっていた事を聞くの。


「あのクリス様。昨日アンジュ様におっしゃっていた事なんですが……何故アンジュ様に君はレオン王子とは結婚出来ないだろうとおっしゃってたんですか?」


「うん?ああ、その事かい。たぶんだけどアンジュ嬢は男性だよ。」


な、なんですと〜〜。

あ、あの可愛らしいアンジュ様が男ですって!


「え、え、あのどこからどうみても女性にしか見えなかったのですが……。」


私の言葉にクリス様は苦笑いしながら答えてくれた。


「リリーナ、君も知っての通り私はよく女性に間違われていただろう?だからかもしれないが直感的にわかるんだよ。アンジュ嬢、いやもしかしたら名前も違うのかな?彼は男だよ。それに彼は一言も話さなかっただろう?きっと声を出せばバレると思ったんじゃないかな。」


私って人を見る目がないのかな?

クリス様といい、アンジュ様といい全くと言っていい程判別出来ない。


「しかしレオン様とアンジュ様はどのようにして知り合ったんでしょうね?先ほどのお兄様の話だとレオン様は女性が苦手のようですし、男性の姿の時に知り合ったのでしょうか。」


「そうだね。その事もレオン王子と2人であった時に聞いてみたらいいんじゃないかな。婚約破棄の事だけをすぐに話そうとしても、レオン王子も身構えてしまって話しにならないかもしれないしね。」


うーん、今までが今までだから話が通じるかが1番の問題だね。

これは気合を入れていかないと。



ーー数時間後


どうやら兄が帰って来たようだ。

サナが知らせてくれた。

私の部屋に来て話しをしたいらしい。

数分後珍しく部屋のドアをノックして兄が中へ入ってきた。


「リリーナ、待たせたな。」


「お帰りなさいませお兄様。レオン王子はお話ししてくれそうですか?」


「ああ、かなり渋っていたが説得してきた。それでだ……急だけど明日という事で話しをつけてきた。リリーナもそれで大丈夫か?」


「ええ、それで大丈夫ですわ。ありがとうございますお兄様。」


「……礼なんて言うな。リリーナ、たぶん明日は大変だと思うぞ。俺が言うのもなんだが父上や母上に同席してもらった方がいいんじゃないか?たぶん父上達はそのつもりだったんだろう?母上に至ってはレオン王子相手にも鉄拳制裁がもうそろそろ飛びそうだからな。レオン王子は俺と違って打たれ強くないから一発でアウトだぞ。」


いやそれ自信満々に言うセリフじゃないから。

さすがの母上だって鉄拳制裁はしないんじゃないかな?

その分が全て兄に向かっているだけで。


「やれる事はやりますわ。私もレオン王子との対話を諦めてしまった責任がありますもの。明日は思う存分今まで言えなかったことを伝えてきますわ!」


私の意気込みを聞いて兄が小さい声で何か言っている。

「たぶんレオン王子明日ヤバイな……。どうやって………」

兄はレオン王子に過保護過ぎないか?

これじゃあどっちの兄かわからない。

同じ人に結婚を申し込んだ絆の深さなのかな……。


兄のレオン王子への過保護さに一抹の不安を感じながら、早く兄にお嫁さんという名のお目付役を見つけた方がいいと感じた1日だった。



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