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結局兄は、母から教育という名の鉄拳を5回ほど受けた。


「お兄様…生きてますか?」


「う〜〜、母上は相変わらず容赦がないなぁ。」


「お兄様が挨拶さえきちんとすればそこまでのダメージはなかったと思いますわ。」


何で兄は毎回母に教育されているのに同じ事をするのかな。

毎回不思議でしょうがない。

これが親子の愛情表現なのかしら?


今部屋にいるのは私と、頭を痛そうに撫でている兄とそれを面白そうに見ているクリス様、それからお茶を準備してくれているサナの4人だ。

母は先程帰宅した父と話があるとかで出て行った。


私達はサナが準備してくれたお茶を飲みながら兄の話しを聞くことにした。


「リリーナ、あのバカ…いや違ったレオン王子ともう1度会ってみないか?」


兄よ今サラッとバカって言ったね。

さすがにダメでしょ。

それよりも何故兄がレオン様と会うことを勧めてくるのかな?

もう1度はっきりと婚約破棄を宣言してもらう為かな?


「お兄様、会うのは別に構いませんがそれなら私だけではなく王様や王妃様、あとお父様とお母様も呼んでその場で婚約破棄の話をした方が良いと思いますよ。何故かレオン様は私以外に婚約破棄の件を伝えていないようですから。それとも私が領地に行っている数日の間に伝えたのかしら?」


何故か兄は頭を抱えた。

あれ?もしかしてさっきの母の鉄拳の打ち所が悪かったかな。

そして何やら笑い声が聞こえる。


「くっ、はは。あ、ごめんね。会話の邪魔をして。でもちょっと面白くて。リリーナは実際のところレオン王子のことはどう思っているんだい?婚約破棄はあっさり受け入れたようだけど、本当にそれで良かったのかい?」


クリス様がそんな質問を投げかけてきた。

レオン様のことか…どう思っているって言われても難しいんだよね。婚約は親達の決めたことだし、でもどうせ結婚するんだったら仲良くはしたいと思ったけどそれが出来なかった。

レオン様は私のことを苦手みたいだったし、きっとそのこともあったからあっさり私は婚約破棄を受け入れたんだと思う。自分を苦手と感じる人とずっと一緒にいるのって結構大変だもの。


「レオン様のことは別に好きでも嫌いでもありません。ただ婚約破棄を受け入れたのはレオン様が私を苦手に思っていることがわかっていたからです。それに婚約破棄は私の一存でどうにかなるものでもないでしょうし。」


私の言葉を聞きクリス様は考えるように頷き、兄は唸っている。

何やら兄がブツブツ言っている。

『リリーナを苦手にって…そりゃあの態度じゃ……何で1回ぐらい素直に言えないんだ……バカ』

やっぱりバカって聞こえる。

まさか本人を前に言ってないだろうな。

その時部屋のドアをノックする音が聞こえた。

サナが応対に向かう。

入って来たのはセバスチャンだった。


「失礼いたします。リリーナ様旦那様がお呼びです。」


「わかりました。今参ります。クリス様、お兄様お話の途中ですが一旦失礼いたします。」


私はセバスチャンの後に続き部屋を出て、父の部屋に向かった。

父の部屋の前に来るとセバスチャンがドアをノックし「失礼いたします、リリーナ様をお連れいたしました。」とドアを開けてくれた。


「ああ、リリーナ。さあこっちへ来て座りなさい。」


私は父に促され椅子に腰掛けた。

目の前には父と母がいる。

一緒にいる姿を見るのは久しぶりだ。


「リリーナ…この短い期間に行ったり来たりで疲れただろう。苦労をかけてすまない。」


たった数日しか会わなかっただけなのに父よ何故そんなに疲労感が凄いんだ?

確かに私の方がこの数日の間に領地と王都の往復や覆面狩り、魔物狩りとイベント目白押しだったがそんなに疲れてはいない。逆に体を動かせたから調子が良いぐらいだ。

それに比べて父は……痩せた?


「お父様…もしかして少しお痩せになりましたか?数日お会いしていないだけなのに凄く疲れているように感じるのですが。」


「そう見えるか?確かにこの数日、毎日のように王と王妃と話し合いを行っていたのだが肝心のレオン王子が何も言わないのだ。なので全くと言っていいほど話が進まない。もうこっちから破棄でも何でもするか…」


父が追い込まれている…。

さすがにこっちから婚約破棄は難しいでしょう。

そして何でもするかの部分がコワイからやめて。

母が何でもの部分にちょっと反応してたよ、物理的はダメだって。


「リリーナ、明日私達と一緒に城に行きましょう。そしてこの話にカタをつけてきましょう。」


母が笑顔でそう言った。

はい、行きますよ。

そして母の暴走は私が何とか止めますよ。

何とか平和的に終わらせましょう。

私に出来ることは話し合いが、話し合いで済むようにすることだ。

物理は絶対ダメだよ。




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