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ちょっと迷走中。

「お母様、何か私に今出来ることはありませんか?」


母の部屋を出る前に聞いてみた。

出来れば折角領地にいるのだから何かの役に立ちたい。


「そうね……。」


母が何かあったかしら?と言いながら考えていると部屋をノックする音が聞こえた。


「サリーです。奥様今よろしいでしょうか?」


「あらサリー。いいわよ入って。」


失礼いたしますとサリーが入って来た。


「どうしたの?珍しく慌てているようだけど。」


「はい、実は今伝令が参りましてナン村付近で魔物が現れて住人に怪我人が出ているとの報告がありました。魔物の数は20匹程目撃されているようです。」


「ナン村で…確かあそこはここ何年も魔物の目撃情報が無かったはず。住人も久しぶりの出現に驚いているわね。すぐに討伐隊を組んで派遣しないと。今動けるのは…トーマの部隊ね。」


「お母様!私も向かわせて下さい!」


私はすぐに母に頼んだ。


「リリーナ…そうね。1人でも動ける人が必要だわ。でも久しぶりの魔物討伐だけど大丈夫なの?」


「はい!この間の覆面達との戦闘で自分が今どのくらい動けるかは分かっています。それに怪我人がいるなら人手が必要なはず。忘れずあの薬草も持って行きますわ。」


「それじゃあトーマ達と一緒に行ってちょうだい。無理はしちゃだめよ。」


「はい分かりました!ところでトーマはどこにいるのかしら?」


するとサリーが教えてくれた。


「リリーナ様、トーマでしたら今サナが呼びに行ってます。もうそろそろこちらに来るはずです。」


その言葉通り部屋のドアをノックする音が響いた。

扉の外から「トーマです」と声が聞こえる。

「入ってちょうだい」母が言う。


「失礼します!」


「トーマ、サナから話しは聞いたわね?すぐにナン村へ向かってちょうだい。リリーナも同行するわ。」


トーマは驚いたように「リリーナ…様もですか?」つぶやいた。

私はすぐトーマに言った。


「トーマ、私の実力はあなたも知っているはずでしょう?それに人手はあった方が良いはずよ。」


「そうですね、分かりました。リリーナ様お手伝いください。ただしあまり無茶はしないで下さいよ。」


何故母と同じ心配をする?

無茶なんてしない、やれることをやるだけだ。

私とトーマ、そしてトーマの仲間達と急いで出発することにした。

会ってみればトーマの部隊の人は、昔魔物狩りの時に一緒に戦っていた人ばかりだった。

なのでみんな私を見たときは驚いているようだったが、一緒に魔物狩りへ行くことを伝えると何故か「やっぱりリリーナ様はリリーナ様だ」と全員が同じことをつぶやいた。

なんか納得出来ない……。


とりあえずみんな知っている人ばかりだからやり易いことは違いない。

必要な物を急いで用意して全員馬に乗って出発した。

ナン村はここから馬で30分ぐらいのところにある。

今総勢10名でナン村へと向かっている。


それにしても魔物の目撃情報が20匹というのはここ最近では聞かないぐらい多いと思う。

同一地域にその数は、昔一時的に魔物が増えた時と同じぐらいだ。

目撃されたのが20匹だから本当はもっといるかもしれないし、気を引き締めていこう。


そうこうするうちに村へと着いた。

村の門は閉じられている。

門の上にいる監視役に合図を送る。

するとすぐに門が開いた。

私達は急いで門を抜け中へと入った。

監視役の人がこちらにやって来る。


「領主様からの援軍の方ですね?よく来てくださいました!詳しい話は村長のところで。」


私達は監視役の人に案内されて村長の家へと向かった。


「おお〜、よく来てくださいました!ありがとうございます。久しぶりに魔物が出た為に対処が遅れて被害が出てしまいまして。本当に申し訳ない。」


「いえ、すぐに伝令を遣わしてくれたのですぐに動けました。ところで被害状況は?」

とトーマが尋ねた。


「はい、幸い怪我人はいますが軽傷ですんでいます。ただ村から魔物を追い出しただけで討伐はまったく出来ておりません。村の中に入って来たのが7匹程で、あとは村の外で見かけたものが20匹程でした。」


ん?ということは30匹近くいるのでは…。

かなり多い。

と私が考えていると村長が話しかけてきた。


「ん?もしやそこに居られるのはリリーナ様ではありませんか?おお〜、やっぱりリリーナ様だ!昔この村が魔物に襲われた時も来てくださいましたな。今回もリリーナ様自ら来てくれるなんて……。」


なにやら村長が感動している。

そういえば昔魔物狩りに勤しんでいた頃ここにも来てたわ。

あの時もそういえばこんな感じだった。


「村長。とりあえず今は魔物の情報をいただけませんか?」


「おお〜、そうじゃった。魔物はこの近くの森からこちらの様子をうかがっているようです。なので森へ行けずに困っております。今回の魔物は猿のような姿と狼のような姿のものでした。」


猿と狼型か。

どちらも動きが速いタイプだ。


「では村長、私達は森の中に入って魔物狩りをするので村の人が外に出ないように注意して下さい。さあ、準備を整えて森に行くぞ。」


トーマの声に私達は急いで準備を整え、森へと向かった。



森の中へ入ると周りからこちらをうかがう気配がする。

すると早速魔物が木から飛び降りてきた。

昔の兄を思い出す……。

あの時は剣を止めたけど、今回は遠慮はなしだ!


私は飛び降りてきた猿型の魔物を地に着く前に斬りつけた。

その姿を見た仲間は「やっぱりリリーナ様は成長してもリリーナ様だ」と言っている。

どういう意味?

猿型は仲間がやられたことが分かると一斉に飛び出してきた。

木から降ってくる、降ってくる。


さすが戦い慣れているみんなも1匹ずつ確実に仕留めていっている。

私も負けじと上から降ってくる猿型をガンガンと斬りつけていった。

周りを見れば15匹程倒れている。

しかし目撃情報にあった狼型が1匹も見当たらない

まだ奥にいるのだろうか。


すると奥の方から何か聞こえる。

これは……子供の声だ!

私は気付くと駆け出していた。





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