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トーナメント

 さて、やって来ました。

 トーナメントの開始です。

 それにしてもこの会場の熱気といったら……本当に国中の人が集まっているようだ。

 この大会で良い成績を残せればかなり優遇されるらしいし、そりゃ盛り上がるか。

 まあ、私にとってはそんなことはどうでもいいけど……目的はあの人たちの殲滅ですから。


「リ、リリーナお姉様が微笑んでいるけど……目が笑っていない上に殺気がダダ漏れ」


 隣にいたアンジュさんがそんなことを言っている。

 え? 殺気漏れてた?

 ……ふむ、確かに何故か私たちの周囲に人がいないような。

 いつの間にかお祖父様の技を習得していたのかしら?

 そんなことを考えながら、歩きやすくなった会場を歩いている私たち。



『トーナメントに参加の皆様はこちらへお集まり下さい! 』


 どうやら集合のようだ。


「では、みんな頑張ってきなさい」


 お祖父様が私とアレン君、リュート様に言葉をかけてくれた。

 大丈夫ですよお祖父様、必ずや仕留めて参りますから!

 私はお祖父様の目を見て深く頷いた。


「あ、ああ。まあ、あれだな。リリーナ、さすがに息の根は止めるなよ? もちろんわかっているとは思うが、万が一ということもあるしな」


 お祖父様が心配そうに言っている。


「お祖父様、私あんな方たちの為に自分の手を汚すつもりはございません。もちろん手加減いたします。……ただ、簡単に終わるような試合はしませんよ? 」


 私の言葉にアレン君とアンジュさん、それにサスケさんが仲良く固まっている。

 え? 何か問題でも?

 正々堂々アンジュさんと戦わなかったことを後悔させてあげるだけだよ?


「さすがリリーナ様。その勇ましさ、次代の妖精姫に相応しいと思います。きっと今日この会場にいる者たちは、新たな伝説の生き証人になるかと」


「あ、あのリュート様……私は次代の妖精姫になるつもりはないのですが? 」


「「もう遅いと思う」」


 何故かお祖父様とお祖母様がおかしいことを言っているんだけど。

 遅いって何?


 疑問に思うことは多々あるけど集合時間は守らないとだしね。

 私たちは選手の集まる場所へと向かうことにした。



 なんか横から視線を感じる。

 隣を歩くアレン君を見ると明らかに視線をそらされた。


「あの、アレン? どうかしましたか? 」


 何で視線をそらされたのかわからない私はアレン君本人に聞いてみることにした。


「え? いや、そらしたくてそらしたわけではなくてですね。……あの、リリーナ様。今更ですけどその衣装で戦われるんですよね? 」


 …………うん。

 そうだよね、何気にスルーしていたけど本来であればこの反応が正しいんだよね!

 アレン君は若干顔を赤くしながら話している。

 うんうん、わかっているよ。

 このどこを見て話せば良いのかわからない感じがダメなんだよね?


「アレン……あのね、諦めも時には必要なのよ? 自分よりも大きな力(お祖母様)には逆らってはいけないの。わかっているわよ、この衣装を着た私がどうなっているかは。今日も姿見の前でしっかり五分は固まったわ」


「す、すみません! だ、だからそんな遠い目をしないで下さい! ほ、ほらもう集合場所ですよ。今から試合を素早く終わらせましょう! リリーナ様なら瞬殺ですよ」


 アレン君が必死に慰めてくれている。

 ぐすんっ、わかっているよ、頑張るよ。



『長らくお待たせいたしました! これより決勝トーナメントを開催致します。このトーナメントは予選と違い武器の使用が認められています。何でもアリではありますが相手を殺してしまった場合は負けとなります。どちらかがギブアップするか完全に気絶するまで戦いは終わりません。正々堂々戦って下さい! 』


 ふーん、正々堂々……ね。

 あの姉妹がはたしてその『正々堂々』を守ってくれるかは甚だ疑問だ。

 まあ、こちらとしては最初から卑怯な手を使ってくると考えて戦った方が良いだろう。

 さて、第一試合アレン君の出番だね。


「アレン、いつも通りで大丈夫ですから頑張って下さいね」


「はい! リリーナ様。リリーナ様に応援してもらえれば百人力です! 無様な姿は見せないようしっかり、じっくりヤってきますね」


 アレン君はそう言うと戦いの舞台へと向かった。

 何だろう、少し言葉に不穏な気配があったけど大丈夫……だよね?

 心配な部分はあったけど私は影ながらアレン君の試合を見守ることにした。



『では早速第一試合を始めます! アレン選手、ザック選手入場! 』


 司会者の声に会場は大歓声で選手を迎えた。

 見ているとアレン君の姿に戸惑っている人も見受けられる。

 やっぱり体格が違うからだよね〜。


 アレン君は武器は持たずに籠手を付けている。

 対する相手の人は身体に似合った大きめな斧を持っている。

 これだけ見ると、戦力は相手が上に見えてしまうかもしれない。

 だけど……きっと試合が始まれば会場中が沸き上がるはず。

 私はアレン君を信じて試合開始を待った。


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