表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/187

北の国

あっという間に1週間過ぎた。

その間に、サスケさんがスミレ様から預かってきたという手紙を何回か持ってきたが、全てお祖父様とお祖母様に見つかり、内容を確認され私に渡る前に返却されていた。

お2人が言うには、


「前よりはマシになったが、それでもちょっとマシになったレベルだからな。まだまだリリーナに届けることを許可出来るものではないと判断した。……しかし、これだけ返却されながらも書き続けてくるところは素直に凄いと思うぞ。」


確かに、あきらめずに何回も書いてきてくれるのは凄いと思うけど、そこまでして私に手紙を書きたいと思ってくれるのは何故なのかしら。

正直そこまでスミレ様と接点ないんだけど。

その疑問を1度サスケさんにぶつけてみたことがある。

するとサスケさんは


「姫さん、直接、聞いて。」


いや、直接会うことはないと思うので、聞きたいんだけど。

でもそれ以上の答えはサスケさんから返ってこなかった。




「リリーナ様、お体にお気をつけ下さい。アンジュさん、アレンさん、リリーナ様を本当によろしくお願いします!……ああ、やっぱり私もリリーナ様と一緒に……」


サナが見送りに来てくれたが、心配のあまり一緒にとか言っている。

それを一緒に見送りしてくれていた兄がギョッとした顔で聞いていた。


「だ、駄目だぞ、絶対駄目だからな!サナ、行かないよな?お、俺今サナにいなくなられたら泣く自信があるからな!」


兄がすでに涙目になりながらサナを抱きしめている。

この1週間隙を見つけてはああやってサナにくっついていた。

サナは恥ずかしさの方が勝っているようで、兄に抱きしめられると何とかして脱出しようと頑張っている。

まあ、いつも結局脱出失敗で真っ赤になって抱きしめられているんだけどね。


「サナ、ありがとう。でも、今はこのお兄様と一緒にいてあげてね。少々……いえ、かなり大変だと思うけどサナ以外にお兄様の相手は出来ないわ。お兄様をよろしくお願いします、お義姉様。」


私の言葉にサナが恥ずかしそうにしている。

うんうん、まだ結婚していないけど時間の問題だもんね。

何故か私の言葉にアンジュさんも反応している。

小さい声でなんかブツブツ言っているような。


『サナさんリリーナお姉様にお義姉様って呼ばれている。私もアレンがリリーナお姉様と結ばれれば……ふ、ふふ、アレン本当に頑張って〜〜。』


アンジュさんは急にアレン君の方を向いてなんか言っている。

アレン君はちょっと呆れたような顔でその様子を見ていた。



「それでは行ってくる。リカルドはちゃんと騎士団の仕事をするんだぞ。アレク殿には私から直接頼んでおいたからな。もしもサナにかまけていたら……ふっ、どうなるかは考えればわかるよな?」


お祖父様の脅しにも似た言葉に兄の顔色が悪い。

さすがはお祖父様、これで兄はサナにだけかまっていることは出来ないだろう。


みんなに見送られ私たちは北の国へ向けて出発した。

北の国までは順調に行けば5日ほど、ちなみに普通の貴族ならこの倍以上はかかる。

私たちは基本あまり休憩は取らずに行くし、野宿も普通にするから宿のために村に寄る必要もない。



「お祖母様、北の国にご兄弟はいらっしゃるんですか?」


よく考えるとお祖母様のことって、私何も知らないかも。

北の国出身ということもこの間知ったばかりだし、この際聞いてみよう。


「うん?弟が1人いるわ。最近は3年ぐらい前に手紙で近況を報告したぐらいの交流しかないわね。あの子が家を継いでくれたから私は安心してお嫁に来られたの。ちょっと歳が離れていたのだけれど、しっかりした子でね。」


「この間のお話しでは貴族でも物理力が必要とおっしゃっていましたが、お祖母様の弟様……大叔父様もお強いのですか?」


「そうね〜、強いわよ。昔、私とやり合っても引き分けに持っていけるぐらいだったから。」


どうやら北の国はおかしいらしい。

お祖母様クラスがゴロゴロいるなんておかしいでしょ。

私の表情から考えていることがわかったのか、お祖母様が笑いながらこう言ってきた。


「あら、私と弟の強さは北の国でもトップクラスよ?でも、あの人はそれを軽く超えていたからね、信じられなかったわ。」


お祖母様が言うあの人とはもちろんお祖父様のことだ。


「では、お祖父様は北の国で有名人だったりして?」


冗談で言ったこの言葉に、お祖母様は真顔で返してきた。


「……リリーナ、よくわかったわね。あの人北の国の貴族に大人気よ。基本、貴族でも強い人ほど認められる国だから、私たちと同世代の貴族たちはあの人のある意味ファンみたいな感じかしら?」


ええ〜〜、予想以上の答えが返ってきた。

本当に北の国ってどんな国なの?

そしてますます不安になってくるのは何故なのかしら。

北の国まであと5日、本気でお祖母様からもう少し情報を得ないといけないと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ