次はどこ
兄がアレク様に連れ去られた室内、サナもようやく復活し、お祖父様が今後の予定を話し始めた。
「リカルドとサナが無事落ち着いたようだから、私たちはまた旅を続けようと思う。ここまで戻ってきたから、東の国でも北の国でもどこへでも行けるが……南の国は、まあ、西の国で土下座騒ぎを起こしていたから行かんでもいいだろう。そうだな……リリーナはどこへ行きたい?」
お祖父様が聞いてきた。
うーん、北か東ね〜〜。
東っていうとサスケさんやハンゾウさんの国か〜〜、あ、あとスミレ様。
何故だろうちょっと面倒くさく感じるのは。
となると消去法で北の国ってことになるけど、北の国って結構謎なんだよね。
私がそんなことを考えているとお祖母様が話しかけてきた。
「リリーナ、もし悩んでいるようなら北の国に行ってみない?嫁いで来てからあまり帰っていないけれど、私の生まれ故郷なのよ。」
「え?お祖母様の故郷って北の国何ですか?」
「ええ、そうよ。この国に用事があって来ていた時にこの人に会ったの。もう、この人ったら結婚の約束をしてくれるまで国に帰さないとか言い出してね〜〜、あの時は本気でやり合ったわ。」
お祖母様の言葉にお祖父様が慌てている。
「リ、リーフィア、その話は今しなくても!えーっと、……ごほん!アレだ、まあ、リリーナもリーフィアの故郷を見てみるのも良いのではないか?」
お祖父様が無理やり話しを切り替えた。
お祖父様の若い頃って……。
まあ、北の国について知っていることはあまりないからこそ、実際に見てみるのも良いかもしれない。
「お祖父様、お祖母様、私北の国に行ってみたいです。」
私の答えに2人とも笑顔になった。
「ああ、では行き先は決まったな。今回は、というかこれからはサナは一緒には連れて行けんが、リリーナ大丈夫か?」
お祖父様の言葉に何故かサナがショックを受けているけど、それはそうだよね。
兄のお嫁さんになってくれるサナは、これからすることがいっぱいあるだろうし、何よりあの兄がサナを連れて行くことを許しはしないでしょ。
「ええ、わかっております。サナ、お兄様のことよろしくね。今、お兄様からサナを奪ったらさすがに私の命が危ないわ。」
冗談半分で言ってみたけど、実際今の兄からサナを奪ったらどうなるか。
考えただけで怖すぎる。
「リリーナ様……申し訳ございません。私の勝手でリリーナ様の侍女の役目が果たせなくなってしまって……本当にすいません。」
サナが泣きそうな顔で言ってくる。
「サナ、申し訳ないなんて言わないで。あなたがお兄様のお嫁さんになってくれることを決めてくれて、私本当に嬉しいのよ。だって姉のように思っていたサナが本当にお姉さんになるのよ?これほど喜ばしいことがあるかしら。これからは私に仕えてくれていたようにお兄様を支えてあげてね。」
サナがお姉さん……ふふ、本当に兄が頑張ってくれて良かった。
サナが私専属の侍女じゃなくなるのは寂しいけど、兄とサナが幸せならそれぐらいへっちゃらだ。
「では、今回は私とリーフィア、リリーナ、双子、サスケは……聞いてみないとわからないな。」
アレン君とアンジュさんはきっと一緒について来てくれると思う、だけどサスケさんはスミレ様がいるからどうするかな?
なんだかんだ言ってもサスケさんっていろいろ助けてくれるから、いつも助かっている。
お祖父様はみんなにも聞いてみると言って、セバスチャンにみんなを呼ぶように伝えた。
「「もちろん私たちはリリーナ様について行きます!!」」
話しを聞いてすぐにアレン君とアンジュさんは返事をしてくれた。
いつもありがとう!
「ふむ、そうだろうと思っていた。で、サスケはどうする?」
サスケさんは少し迷う素振りを見せたが
「行く。」と短く返事をした。
「そうか、わかった。では出発は1週間後、また私が操縦して馬車に乗って行くからな。」
よし、これでまたいろいろ見て回れる。
サナがいないのは寂しいけど、私がそんな素振りを見せたらサナが困るからね。
ところで北の国ってどんなところなんだろう?
西の国や東の国はある程度王妃教育で学んでいたけど、北の国に関してはほとんど話しに出てこなかった。
「お祖父様、北の国についてあまり情報がないのですが、どのような国なのですか?」
「うん?そうだなぁ、リーフィアの方が詳しいとは思うが、なかなか面白い国だぞ。あそこは価値観が独自に発展していったところだからな。見た方が早いとは思うが、一言で言えば『力が正義』だな。」
何それ?
もしかしなくても脳筋の国なの?
「ふふ、そうね〜。ある程度力を持っていなければ貴族でも舐められるわ。この場合の力は権力とかではなく、もちろん物理力よ。」
お祖母様が言い切った。
行く前から不安しかないけど、大丈夫かな。




