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閑話 それぞれの想い➁

レオンの場合


やっとリリーナに謝ることができた。

リリーナには数度しか会ったことはないが、それは今の私のことであって、過去の私はあり得ないほどリリーナに迷惑をかけていたらしい。

だいたい『レオン王子のリリーナ拗らせ会議』の議事録って何なんだ?

普通に考えて、そんなに問題起こしている相手に付き合ってくれていたリリーナは天使じゃないのか?


議事録は結局最初から最後まで聞かされたが、呆れるしかない。

自分のことなんだが、恥ずかしくって居た堪れないのだ。

会議の数も常軌を逸している。

何なのだ?156回って……。

1ヶ月に1回以上問題起こしたってことだろう。


『リリーナの後をこっそりつけて迷子事件』や『リリーナに水をかけて逃げた事件』など内容も様々だ。

何故、自分がそのような行動に出たかも詳しく書かれていたのだが、正直その行動理由はリリーナに伝わっていないと思う。

リリーナにしてみればただの嫌がらせに感じていたんじゃないかな?

昔の自分と話す機会がもしもあるならじっくりその辺りのことを聞いてみたい。



リリーナにはスミレ姫と結婚すると言ったが、はっきり言ってまだリリーナのことが忘れられない。

頭ではスミレ姫との結婚を認めているのだが、心が認めていないのかモヤモヤする。

記憶を失う前の自分が全力で拒否しているのかもしれない。

正直スミレ姫には申し訳なく思っている。

こんな自分を慕ってくれていることは、毎日会っていれば馬鹿でもわかるからな。


スミレ姫は私が未だにリリーナに惹かれていることを知っている。


「レオン様、私はいつまでも待ちます。たとえリリーナさんを忘れられなかったとしても……お側にいさせて下さい。諦められない気持ちでしたら私も良くわかりますから……。」


そんなことを言ってくれた。

スミレ姫はリリーナに当たりが強い、最初はただ嫌っていると思っていたがどうやら違うようだ。

この時も、リリーナについてこんなことを言っていた。


「それにしても、いつまでもレオン様の御心を離さないなんて……どこまで私の邪魔をすれば気が済むのかしら?リリーナさんは。」



普通に受け取ればリリーナに文句を言っていると思う。

だが、違うのだ。

どうやって見分けるかって?

そんなの簡単だ、だって顔が……にやけているのだ。

いや、姫をつかまえてにやけているはないと思うが、他に言葉が思いつかない。

リリーナのことを話すスミレ姫はいつでも顔がにやけている。

さっきの言葉も表情通りに直せばこうなる。


『それにしても、いつまでもレオン様の御心を離さないなんて……なんて魅力的なんでしょう!さすがは私の目標だわ。リリーナさんは。』


何でここまで捻くれてしまったんだろう。

過去の自分もなかなかだが、スミレ姫もリリーナに関していえば私に並び立つと思う。

毎日開く茶会の時に聞いてみたことがある。

何故そこまでリリーナに対してだけ態度が違うのかを。

すると返ってきた答えは


「……リリーナさんは……リリーナさんだけには無関心になられたくないのです。」


という言葉だ。

それ以上は何も言わなかったが、何となくわかる気がした。

それからは茶会の度にリリーナの話題で盛り上がった。

記憶を失った私よりもスミレ姫の方がリリーナについて詳しいのだ。

聞けばシノビに調べてもらったとか。

シノビ便利だな。

冗談交じりに、シノビがいたら調べ物が簡単に終わりそうだ、とスミレ姫に言ったら即座にシノビを貸し出してくれた。

そのおかげで追っていた貴族の不正の証拠を見つけ出せた。

今度追求するつもりでいる。


スミレ姫と私はリリーナのファンなのかもしれない。

私たちにとってリリーナは眩しすぎる。

今の私たち2人の願いはリリーナとの友情を築くことだ。

周りのガードは堅いし、スミレ姫は捻くれているし、私は信用されていないしで壁だらけだが、何とかリリーナとの関係の修復をしたい。



コンコン

部屋をノックする音が響いた。


「誰だ?」


「騎士団副隊長のアレクです。今、よろしいでしょうか?」


「ああ、入ってくれ。」


失礼します、とアレクが入って来た。


「レオン王子、急遽なのですが今から会議に出席していただけますか?実は…………」



なるほど、昨日の私の行動で会議が開かれているのか。

そのことで私の立場にも疑問を持ったものがいると。

宰相は私がその貴族の不正の証拠を持っていることを知っているのだな。

ならば私が出来ることは…………


「わかった。準備をしてすぐに会議に向かおう。」


私はシノビにも力を借りて集めた証拠を片手に会議へと向かった。

これはある意味宰相がくれたチャンスではないだろうか?







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