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閑話 それぞれの想い ①

・リカルドの場合


痛い。

非常に身体中が痛い。

原因はわかっている。

昨日、お祖母様から注意という名の鉄拳をくらったのだ。

普段、温厚なお祖母様だがさすが母の母というか……一度怒り出すと容赦なく拳が降り注ぐ。

いや、拳だけではない、お祖母様の場合足もあるから余計ダメージが……。


母の鉄拳制裁を受けても次の日には復活出来る俺がここまでヤられるとは。

お祖父様とお祖母様の強さはレベルが違い過ぎる。


俺は痛む身体で食堂に来た。

朝早いが既に父とお祖父様がいた。


「おはようございます。」


俺が挨拶をすると2人も「おはよう」と返してきた。


「リカルド……随分派手にリーフィアにヤられたみたいだな?」


「ええ。お祖母様は母上よりも威力が凄いです。」


俺の言葉にお祖父様笑っている。

いや、正直笑い事ではないんだが。


「リカルド、お前今日は朝早くから警備体制の見直し会議があるからすぐに出発するぞ。」


そう言うと父は出かける準備をし始めた。

はあ〜〜、やっぱりそうなるよなぁ。

レオン王子が脱走した時騎士団の連中はいなかった。

これからは誰かが常駐することになるだろう。

だがそんなことより俺には大事な使命がある。


サナだよ。

一体いつになったらサナに会えるんだ?

同じ屋敷内にいるはずなのに、全く会えない。

近くにいるのに会えないなんて誰かの策略か?

しかし、仕事を放棄してサナに会いに行けば怒られるだろう……もちろんサナに。

いや、別にサナに怒られるのは嫌いじゃない。

むしろ構ってくれるから良いんだけど、それで嫌われるのは嫌だ。

俺はしょうがなく出かける準備をすることにした。


そんな俺の百面相を見ていたお祖父様が俺には話しかけてきた。


「リカルド、サナが気になって仕事どころじゃないって顔だな?サナに伝言ぐらいなら伝えるぞ?」


俺はお祖父様のそんな言葉に勢いよく反応した。


「い、良いんですか?では、帰ってから話しがしたいと伝えてもらえますか?」


「まあ、そのぐらいなら大丈夫だろう。ほら、とっとと行って仕事終わらせてこい。」


そ、そうだな。

とっとと行って、帰ってくれば良いんだ。

俺はそうと決まればと、父と一緒に馬車に乗り込み城へと向かった。




……………………んで、この会議いつまで続くんだ?

かれこれ5時間は過ぎているんだが。


休憩も挟まずにぶっ通しで行われているこの会議は終わりが見えない。

レオン王子がリリーナに謝罪に訪れる為にウチまで来たことがかなり問題になっている。

確か警備体制強化の話し合いのはずが何故か王位継承の話しにまでズレている。

今その話しをするのはちょっと違うんじゃないか?



「だから!このままレオン王子がもし王位を継いだらどうするんですか?」


今騒いでいるのは……えーっと誰だっけ?

ああ、確かアレクんとこの親父の処分の時に、微妙にグレー判定受けて生き残ったところのヤツだ。

レオン王子のことを認めていないからなぁ、あの辺は。


「…………今はその話しをする時間ではないと思いますよ。」


そろそろ父が切れそうだ。

今の発言もイライラが伝わってくる。

だいたいレオン王子がスミレ姫と結婚するって言い出しているのに、今更何の問題があるっていうんだ。

素直に祝福しろよ。


「だが宰相殿!以前王が何か功績を残さない限りはレオン王子を王にはしないとおっしゃっておりましたが、功績どころかまた問題を起こしているのですぞ。我らの間では不安が広がっております。」


我らって誰だよ?

気にしている奴は絶対レオン王子に痛いところを何回も突かれている奴らだ。

レオン王子は記憶がなくなってからも、不正行為には敏感らしく何か勘づくとイロイロ調べさせたりしている。

たまにスミレ姫のシノビも手を貸しているらしく、なかなかの情報を手に入れているらしい。

たぶん今レオン王子を王位につけたくない奴らは、確実に何かやらかしていると思う。

はあ〜〜、自分から藪を突かなくても良いのにな。


「不安……ね。ならばこの場に王とレオン王子をお呼びし直接対話したらいかがですかな?な〜〜に王もレオン王子の事では頭を悩ませているようですから、話を聞いてくれますよ。あと、本来の会議内容の確認もしていただきましょう。」


父が切れた。

あ〜〜あ、だから突かなきゃ良いのに。

たぶんこの場でレオン王子にイロイロ喋ってもらうつもりだ。

その内容によっては、そのことで功績が生まれるかもしれない。

そうすればレオン王子は晴れて王位継承者に返り咲く。


グダグダ言っていた奴は父の発言を受けてギョッとしている。

何か「あ、いや、それは……」などと言っているが、父がサクサクと仕切り王とレオン王子を呼ぶ手はずを整えている。

しかし簡単に王と王子を呼びつける宰相ってどうなんだ?




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