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伝言

スミレ様の言葉に疑問を持ったのは私だけではなかったようだ。


「リリーナにだけということだが、それを信じることは正直難しいと思いますぞ?」


お祖父様がレオン様にそう言ってくれた。

そうなんだよね〜、ハンゾウさんやサスケさんも以前そんなこと言っていたけど、イマイチ信用出来ない。

前にレイチェル様と一緒にお茶会をした時の態度を見た限り、私に好意を持っているようには見えなかったんだけどな〜。

私の目が節穴なのかな?


「それは……。」


レオン様はお祖父様に何も言えないでいた。

いくら周りがフォローしてもスミレ様があんな感じでは信じきれないよ。




「レオン様……今はお2人と友人のような関係を築くことは……難しいと思います。」


私はそうレオン様に告げた。

出来ればこのままお2人で末長くお幸せに暮らして欲しい。

私はと〜〜おくの方からお2人が仲良く過ごせるよう願い続けているよ。


私の言葉を聞いてお祖父様と父が動いた。


「さあ、レオン王子。城に戻る時間ですぞ。」とお祖父様。


「大丈夫です。帰りはお供がたくさんいますから。」と父。


父はそのまま部屋のドアを開けた。

すると外には騎士団メンバーが勢揃い。

アンジュさんとアレン君もいたが…………あ、あら、ご機嫌斜めですね?

2人は隠すことなくレオン様を睨んでいた。

コラコラ、殺気を出すのは止めなさい。


騎士団メンバーはレオン様を囲むようにして部屋をあとにしようとした。

だけど、レオン様が必死に何か言っている。



「リリーナ!私とスミレ姫の結婚式には是非出席してくれ!出来ればスミレ姫とももう一度話しを〜〜」


話の途中だがアンジュさんに急かされた騎士団のメンバーがレオン様を連れ出した。

……アンジュさん、確実に騎士団メンバーを操っているよね?

大丈夫か?騎士団。


「本っ当にあり得ないですわ!リリーナお姉様を結婚式に呼ぼうとするなんて!」


「……ああ。本当にな。……話し途中何度部屋に乗り込もうと思ったか。」


アンジュさんとアレン君がキレている。

でもアレン君、部屋に乗り込まなくて正解だったよ。

だって兄のようにはなりたくないでしょう?

騎士団の方々は兄がいなくてもきっちりレオン様をお城に送り届けてくれるらしい。

良い部下を持ったね、兄。

敢えて兄の行方を聞かないところが空気を読んでいると思うよ。


レオン様と久しぶりに会話をして、何故かスゴく疲れた気がする。

今、無性に魔物狩りがしたい……。

いや、ただ体を動かしたいだけだよ?

何で私は王都に帰ってきてしまったんだろう…………。


あっ、そうか!

兄がサナに手紙なんか送ってきたからか。

なんか帰って来てからドタバタし過ぎて当初の目的をうっかり忘れてたよ。

でも、今は何も出来ないよね。

サナは寝込んでいるし、兄は……お祖母様と話し合っているはずだから。

うん、きっと、話し合いのはず!

まあ、兄も今日は使い物にならないでしょうね。



「リリーナは結婚式に出る気はあるのかい?」


父が唐突に聞いてきた。

結婚式ってレオン様とスミレ姫のだよね?


「え?あまり気は進みませんが……出なければならないですか?」


『あまり』どころか『かなり』出たくないけど王族の結婚式に招待されて欠席するのはいかがなものなんでしょう?

父が宰相をやっているだけに問題視されるのではないのかな〜。


「いや、リリーナが出る気が無いのであれば欠席でも問題ないよ。私から王によ〜〜く言い聞かせるから。今までの拗らせ議事録を最大限に利用させてもらえば大丈夫だろう。それでも無理な時は……」


父がそう言いながらお祖父様の方を見た。

視線を受けたお祖父様は笑顔で頷いている。


「うむ。もしも王がレオン王子の暴走を抑えきれない時は……まあ、手はイロイロあるからリリーナは心配しなくてもいいぞ。」


2人ともスゴく良い笑顔で安心しなさい、と言ってくれるのだが……。

心強いけど、何が起こるのか怖すぎる。

とりあえず、結婚式には出なくてもいいことだけはわかったよ。




ーー次の日


「リリーナ様、お休みをいただきありがとうございました。ゆっくり休ませていただいたのですっかり回復いたしました。」


サナが朝から元気に挨拶に来てくれた。


「ああ、良かったわサナ。顔色も大丈夫そうね。でも、病み上がりなのだからあまり無理をしてはダメよ。」


「ありがとうございます。でも、珍しく一日中寝ていたせいか体が鈍っているので動かしたいです。さあ、リリーナ様朝食の準備が整っております。こちらにお着替えください。」


いつものサナだ。

ここ数日、いろいろあって元気がなさそうだったが今日は大丈夫みたい。

何か少し吹っ切れたのかな?

私はサナに手伝ってもらい準備を整えて朝食の席へと向かった。



「おはようございます。」


食堂にはお祖父様とお祖母様がいた。

父と兄は見当たらない。


「おはよう、リリーナ。」


「リリーナ、おはよう。さあ、一緒にいただきましょう。」


挨拶の後私たちは朝食を食べ始めた。

私は気になったので父と兄のことを聞いてみることにした。


「あの、お父様とお兄様はもうお仕事に出かけられたのですか?」


私の問いかけにお祖父様が答えてくれた。


「リーフ殿なら王に昨日のレオン王子のことをじっくり話す為だと言って、朝早くに出かけていったぞ。リカルドもレオン王子の警備体制強化の為の緊急会議で呼び出されていった。そうそうリカルドから伝言があったんだった。」


兄からの伝言?

……サナ関係か。


「サナ、リカルドが今日帰って来てから話しがあるから時間がほしいと言っていたぞ。」





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