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遭遇

私達はサスケさんが戻るのをジッと待つつもりだった。

……のだが、何故かサスケさんはすぐに部屋に戻ってきた。


「あら?サスケさん早いですね。どうしたの……」


私が問いかける前に、珍しく慌てた様子のサスケさんが話し出した。


「隠れろ。奴ら、人質、連れて、ここに、来る。」


え?ここに来る?

そ、そうか、もしかして人目を気にしてここから出入りしようとしているのか。

まさかこんなに早くエリスさんを解放しようとは。


私達は慌てて隠れられそうな場所を探した。

ぐるりと辺りを見渡せば……この部屋何もないじゃない!

そうこうしているうちに部屋の外から声が聞こえ始めた。

そして、ドアが開かれ…………



犯人達と私達は見つめ合う形になった。

犯人達はまさか屋敷内に見知らぬ人間がいるなんて考えもしなかったため、ビクッとしたまま硬直している。

こちらはお祖父様が一番に動き出した。


犯人達は全部で5人。

人数的には全くお話にならない。

エリスさんは……後ろにいた2人に両脇を抑えられている。

怪我などはなさそうだけど、目隠しをされた状態だ。


お祖父様が一番前にいた強面の男に一撃をくわえた。

お祖父様の拳を受けた男は壁に吹き飛んだ。

さすがお祖父様、だけど仲間がやられたことで残りの人達が騒ぎ始めた。



「お、おい!曲者だーー!!部屋に怪しい者たちがいるぞーーーー!」


大きい声で叫んだ。

その声に気付いた屋敷内の者たちが近づいて来る音が聞こえる。

私達はまずエリスさんの安全を確保することにした。

エリスさんに一番近かったアレン君とアンジュさんが、エリスさんを抑えていた2人を息のあった攻撃で同時に倒し、エリスさんを奪還した。

私とサナも残りの2人を気絶させることに成功。


「よし、エリス嬢は解放された。このままこの部屋に来て攻撃を仕掛けてきた者は全て打ち倒す。その後、外にいるリカルドとアレク殿を呼ぶぞ。」



その後、武装したガラの悪そうな人達が部屋にやって来た。

その後方には、明らかに貴族とわかる装いをした者もいた。

あれが現ワルシャワ侯爵か。

見た目は20代後半というところだろう。

なかなかプニプニした体型をしている。


「我が家に侵入とはなんたる不届き者だ!…………うん?な、なんでリリーナ嬢がここに?お、おいお前たちこの人も連れて来たのか?」


どうやらワルシャワ侯爵は、私のことを知っているようだ。

まあ、一応この国の王子の婚約者だったからね、……一応。

私はあまりこの人の印象はないけど……。


それにしても私の出現に焦ったのか、あまり他が見えていないようだ。

私以外にも人はいるんだけどね。


「と、とにかく、捕まえろ!顔を見られてしまっているのは……ああ、もういい、後で考える!いいからとにかく捕まえるんだ!」


侯爵のその言葉にガラの悪そうな人達が、こちら目掛けて突撃してきた。

でも、簡単に捕まってなんてあげない。

私の方に突撃してきた人達は私に近づくことは出来なかった。

何故なら…………



「リリーナ様に近づこうなんて……百万年早いですわ!」


サナが久しぶりに鞭をふるって、性格がかわっている。

笑顔で鞭を振る姿がとっても似合っているわ。


「ほんと、リリーナお姉様に近寄るなら私達をこえてもらわないと……というわけでヤられて下さい!」


アンジュさんはそう言って、いつものように隠し持っていたロッドで殴っている。

ああ、それは魔物すら打ち倒す代物……手加減って知っているよね?


部屋の入り口が狭い為、犯人側は一気に入って来れないでいる。

入ってきてもサナとアンジュさんに返り討ちにあっているんだけどね。

分が悪いとようやく悟ったのか、侯爵が残りの人達を連れて逃げた。


「ここで逃げられては面倒だ。アレンとサナは私について来い。侯爵のあとを追う。サスケ、お前確か火薬玉を持っていただろう?それを外で爆発させてリカルド達に報せてくれ。リリーナとアンジュは玄関あたりでエリス嬢の安全を確保しておいてくれ。リカルドとアレク殿が来たら外にそのまま出ればいいから。」



私達はお祖父様の指示に従ってそれぞれ動き出した。

エリスさんはどうやら気を失っているようだ。

私とアンジュさんでエリスさんを抱えながら玄関だと思う方へと移動を開始した。


サスケさんは今いた部屋の窓から外に出て火薬玉を使ったらしい。

何か爆発音のようなものが聞こえた。


私とアンジュさんがエリスさんを運んでいる時に襲ってくる人はいなかった。

使用人らしき人達は見かけたが、皆一様にこちらを見かけると隠れてしまう。

たぶんあの人達は、犯人達とは違いこの屋敷で勤めている人達なんだろうね。



「リリーナお姉様、たぶんあちらが玄関ではないですか?」


アンジュさんが指し示した方を見れば、確かにそれっぽい。


「そうですね。では、あの柱の陰でお兄様達が来るのを待ちましょう。」


私とアンジュさんはエリスさんを柱に寄り掛からせて、兄達が来るのを待つことにした。

遠くの方からは叫び声のようなものが聞こえる。




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