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事件勃発②

えーっとエリスさんが誘拐ってどういうこと?

私は謎を解くために父に問いかけた。


「あ、あの、お父様……エリス様が誘拐って……どうして……」


「うむ。今ククール伯爵から話しを伺っていたのだが、どうやら街に出た際に拐われたらしい。」


街……ああ!

もしかして、お忍びでよく出かけるという例の?


「ああーー、何でエリスは1人で……。以前にも危険な目にあったことがあったので、1人では出歩くなと散々言い聞かせていたのですが。」


以前って、例の兄に一目惚れした件かな?


「誘拐犯は金を要求しているのだね?」


そう伯爵に聞いたのはお祖父様だった。

お祖父様の問いかけに伯爵は懐から紙を取り出した。


「エリスがいなくなったと使用人から報告があり、エリスを探していたらこの手紙が屋敷に届いたのです。」


伯爵は手紙をお祖父様と父に見せている。

それを読んだ2人は難しい顔だ。


「これは……金目当ての犯行ですね。」


「そうだな、もしかしたらエリス嬢は初めから狙われていたかもしれんな。屋敷からよく抜け出すことを犯人側が気づいていて犯行に移した可能性が高い。そうでもなければ朝出かけてすぐにこんな手紙が来るのはおかしいだろう。」


なるほど、街にお忍びで出かける姿を見られていたのかもしれないのね。

しかもお供も付けずに。


「ああ!こんなことならもっとエリスに護衛をつけておけば良かった。エリスにもしものことがあったら私は、私は……」


伯爵が頭を抱え込んでいる。

エリスさんは今どこにいるのかしら。

私が口を挟むわけにもいかないのでことの成り行きを見守るしかない。

と、そこへ部屋の扉をノックする音が響いた。



「リカルドです。アレクもいます。」


「ああ、入ってくれ。」


兄の言葉に父が入室を許可した。


「ただいま戻りました。急ぎの用件でアレクも共にということでしたが、どうしたのですか?」


兄は部屋の中に父の他に私やお祖父様、お祖母様、それにククール伯爵がいたことにビックリしたようだ。

兄に続いてアレク様も部屋へと入ってきて、同じくちょっと驚いている。

もちろん兄ほど顔には出ていないけど……。


「とりあえず他言無用で頼む。エリス嬢が拐われた。」


「え!エリス嬢が?」


「そうだ。今日1人で家を出て街に行ったところを狙われたらしい。」


父が兄とアレク様に説明している。

そして話しを横で聞いていた伯爵が勢いよく席を立ち、兄に近づいた。


「頼む!リカルド殿協力してくれ!エリスを、エリスを助けてやってくれ。」


「ええ、それはもちろんです。父上俺とアレクを呼んだのは騎士団を動かすということですか?」


兄の言葉に父は首を横に振った。


「いや、違う。その逆だ。この話は大きく出来ない。貴族の令嬢にとって誘拐されたという話しが拡がれば、いらん憶測を呼ぶ。だから少数精鋭で迅速に解決せねばならない。その為にリカルドとアレク殿にも来てもらったのだ。もちろんリリーナにも協力してもらう。」


そうか、貴族の、ましてや未婚の令嬢に醜聞は命取りだ。

騒ぎになる前に何とかしないとだよね。


父の話を聞きアレク様が口を開いた。


「宰相殿、口を挟んで申し訳ないです。実は私の元にちょっとした噂が届いておりました。事件にはなっていない……といいますか、当事者たちが訴えないせいで事件になっていないと思うのですが、誘拐の話しが噂になっているんです。しかもお忍びで出かけることのある貴族の子供だけを狙って。事件になっていないのは、被害者が怪我などもしておらず無事返されているからだと考えられます。特に誘拐されたとなれば、いろいろ困ることもあるでしょうし……。」


え?それって誘拐が横行してるってこと?

でも、騒ぎにせずにお金だけ取るって犯人側は、貴族の事情を知っているの?

どうやら無駄に悪事に頭が働く人がいるらしい。



「では、まず金の受け渡し場所には伯爵に行ってもらいます。伯爵を指名してきたので。そして犯人側はもしかしたらエリス嬢をすぐには解放しない可能性がある。その時後をつける役を……あのシノビのサスケ殿には頼めるだろうか?それが可能であれば成功確率も格段に上がると思うのだが。」


「ああ、サスケには私から頼んでおこう。」


お祖父様がサスケさんにお願いするらしい。

最近サスケさんは何でも屋だね。

それだけ頼りになるってことか。


「そしてアジトを突き止めたらお義父さんとリリーナ、サナ、たぶんアレン君とアンジュさんも一緒に行くだろうが、そのメンバーで犯人を懲らしめてやってくれ。くれぐれもトドメは刺さないように。で、一暴れしたらリカルドとアレク殿で騎士団として犯人を捕縛してほしい。連続で貴族の子供を狙うというのは怪しすぎる。もちろん第一はエリス嬢の救出だ。必ず助け出そう。」


父の説明を聞き各々自分の役目の為に動き出した。

私もサナやアレン君、アンジュさんを探そうと部屋を後にした。



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