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事件勃発

次の日、朝から兄の襲撃に備えていたが、予想に反して兄は騒がなかった。

いや、正確にはいなかったのだ。

朝食の席で父にそのことを聞いたら


「昨日の騒ぎを聞いていたからな……アレク殿にはいつも申し訳ないと思っているのだが、朝早くに迎えに来てもらって仕事に連れ出してもらった。ゆっくりサナにも話しを聞きたかったしな。」


アレク様…………

本当に、ほんと〜に毎回申し訳ないです。

出来る副官が兄にいて良かった。

今度何かお礼をしないと。


「そうでしたか……では、騒ぎは夕方に起きそうですね。」


「まあ、その時は何とかするさ。ところでサナ、この後ちょっとだけ私の部屋に来てくれ。話がしたいんだ。ああ、そんなに不安そうな顔をしないでおくれ。本当に少し話しをするだけだから。」


父の言葉に近くに控えていたサナが返事を返している。

それを見ていたお祖父様が声をかけてきた。


「ふむ、では私たちも一緒に話しを聞こう。」


そう言ってお祖父様とお祖母様がサナの方を笑顔で見ている。

うーん、サナが心配だから?


「では、リリーナ。サナを少し借りるよ。」


不安そうなサナに小さな声で話しかけた。


『大丈夫よ。お父様も、それにお祖父様やお祖母様だってサナを叱ったりしないわ。だって何もしていないもの。本当は私も行きたいけど、ダメみたいね。ごめんなさい。』


私の言葉にサナはちょっとだけ微笑んでくれた。


『はい、大丈夫です。』


そう言ってサナは父達の後に続いて部屋を出て行った。

たぶん兄についてだとは思うけど……どうなるんだろう。



サナが父たちと話している間、私は庭でサスケさんにシノビの技を見せてもらっていた。

何故ならアンジュさんに誘われたからだ。

アンジュさんはサスケさんにシノビの技を見せてくれるようずっと頼んでいたようなのだ。


今日見せてくれるのは姿を隠す技らしい。

私とアンジュさん、サスケさんにアレン君も一緒に庭の木の前にきた。


「じゃあ、約束だからサスケ見せてね!」


アンジュさんが元気な声でサスケさんにお願いしている。

対するサスケさんは非常に面倒くさそうな表情を浮かべている。

大丈夫かな?


「ふう、わかった。1回だけな。」


サスケさんがそう言うと突然下に落ちていた枯れ葉が空中に舞い上がった。

そして一瞬サスケさんの体がそれで見えなくなった後、枯れ葉が全て地に落ちる頃にはサスケさんの姿はどこにもなかった。


「きゃあ〜〜!本当に消えたわ!すご〜い。ねえ、サスケ!どこにいるの?」


アンジュさんが瞳をキラキラさせてサスケさんを探している。

私とアレン君も声には出さないがその技に驚いていた。


「さすがですね。こうやってじっくり見る機会はありませんでしたが、やっぱりシノビの技って便利ですよね。今後の為に教えてもらおうかな……」


アレン君も結構興味を持っていたようだ。

でも、確かにいいよね〜。


「おーい、サスケ〜!」


どうやらなかなかサスケさんは出てこないようだ。

もしかしたら面倒になって逃亡したのでは?

そんな疑念を持ち始めた時、後ろから声をかけられた。


「ココだ。」


その声に反応して後ろを振り向くとサスケさんが立っていた。

おお、いつの間に。


サスケさんの姿を見つけるとアンジュさんはダッシュで近づいて行った。

そしてサスケさんの両手をつかみ


「お願い!私にも教えて!」


とお願いしている。

それを見ていたアレン君も近づき、ついでとばかりに自分にも教えてくれるよう頼んでいる。


「イヤだ、面倒。それに、シノビの技、シノビじゃないのに、ムリ。」


「じゃあ、シノビになる!」


いやいや、アンジュさん。

あなた何を目指しているの?


「バカだ。」


「バカじゃないよ!ちゃんと考えているもの。だって、私、アレンよりも弱いし、サナさんみたいに侍女の仕事も出来ないし……だったらリリーナお姉様の為にシノビになれば良いと思って。」


え?私の為にシノビに?

でも、アレン君よりも弱いって言っても女性としてはかなりのレベルだし、もともと侍女ではないからね。

今は仲の良いお友達だと思っているのだけど……。


「あ、あの!アンジュさん、あなたがシノビになる必要はないわ。私の為にというのはとても嬉しいけど、今のままで良いのよ。」


私たちが庭でなんだかんだと騒いでいると、セバスチャンが私たちのところにやって来た。



「リリーナ様、旦那様がお呼びです。」


あら?父の呼び出しだ。

サナのことで何かあったのかな。

私はまだ揉めている3人を庭に残し、父のところへ向かった。


父の部屋に入るとサナはおらず、お祖父様とお祖母様、それから見かけない顔の男性がいた。

その人はとても青い顔をしている。

それにかなり焦っているようだ。


「ああ、リリーナ。今、リカルドも呼んでいる。急用だと伝えたからもう少しすれば帰って来るだろう。ククール伯爵、これが娘のリリーナです。リリーナ、こちらの方がエリス嬢の父上のククール伯爵だ。」


ああ、確かに目元が似ている……じゃなくて、何でここにいるの?

しかも青い顔って……まさかお祖父様が!

そんな疑惑を持ってお祖父様を見たがお祖父様も何やら考え込んでいるようだ。


「リリーナ、単刀直入に言う。実はエリス嬢が誘拐された。」


ええ〜〜!!

何で?

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