一時帰国②
次の日、準備を整え私たちは帰路についた。
西の国の王様に挨拶とか大丈夫なのか心配だったけど、お祖父様が一言『大丈夫だ』と言っていたからそのままにしておいた。
なんか、王様がまた涙目になっているのが想像出来る。
帰りはまたお祖父様が操縦する馬車での移動だ。
今回はお祖父様の操縦対策としてかなり弾力のあるクッションを用意しておいた。
これで痛いのとはオサラバだ。
兄はサナに何て話しをするつもり何だろう?
今までも無意識にサナに懐いてはいたが、ここぞという時にハッキリしなかったからなぁ〜。
手紙まで寄越してきてまだグダグダするようだったら、母に頼んでサナに良い人紹介してもらおう。
私がそんな対策を考えているとアンジュさんが話しかけてきた。
「リリーナお姉様、さっきから考え事ですか?難しいお顔をしていらっしゃいますが……。」
「うーん、そうね考え事というかお兄様についてかしら?お兄様はサナにちゃんと言えるのかしらね。」
今、サナはお祖父様と一緒に操縦席側にいる。
だから話せる話題だ。
「リカルド様はサナさんのこと大好きですよね〜。あんなに分かりやすいのに。」
アンジュさんから見ても分かっちゃうぐらいなのね。
ただ、お見合いはどうなったのかな?
あの兄に付き合える人がいるとは思えないけど……。
「お兄様がサナを悲しませるようなことが万が一あったら即座にサナを保護するから、アンジュさんも手伝ってね。」
「はい!もちろんです!私もサナさんには幸せになってほしいですから。」
よし、味方が増えた。
私たちの会話をお祖母様やアレン君、サスケさんも聞いていた。
お祖母様はニコニコと、男性2人は顔を見合わせ何やら相談している。
あれ?いつの間に仲良くなったのかしら。
旅は順調で、何も起きないまま領地に到着した。
本当はそのまま王都に行こうかという話しも出たが、一度母に顔を見せてから行くことになった。
母からは一泊していきなさいと勧められた為、その日は久しぶりにゆっくり休むことにした。
そして夜、母に話しがあるからと部屋に来るように言われた。
「お母様、お話しって何ですか?」
「リリーナ、リカルドがお見合いしたことは知っているわね?」
「はい、西の国にお兄様からサナ宛の手紙が届いて、それと一緒にセバスチャンからそのようなことが書かれた手紙が添えられていたようです。」
母は頷くとこう切り出した。
「そうなのよ、あの子久しぶりにお見合いしたの。しかも、お見合い相手が是非にと望んだと言うのよ〜。」
「え?お相手の方がですか?その親ではなくて?」
「ええ。ビックリよね。リーフの話ではあのリカルドが押されているようなの。」
「お、お兄様がですか?」
「もう、いろいろビックリし過ぎて笑っちゃったわ。」
いやいや、笑い事ではないよ。
それってもしかしてお見合い成功しちゃうんじゃない?
一応兄はこの領地の跡取りだし、普通に考えたらそのお見合いを断る理由がない。
今までは相手から断られてばかりだったからね〜。
「お兄様はお見合い相手に会ってらっしゃるのですか?」
「リカルドは逃げているようなんだけど、お相手がどんどん攻めているようなの。そんな素敵な相手、今までどこに隠れていたのかしらね〜、リカルドが逃げるなんてスゴイわ。」
母は面白そうに話している。
こちらとしてはそれどころではないのだが……。
「お、お兄様はこのまま婚約されてしまうのでしょうか?」
もしそんなことになったら兄はとりあえず本気で叩きのめして、サナを連れて遠くの国に行こう。
「そうね…………正直分からないわ。私は領地を預かる者として早くリカルドには結婚してもらいたいわ。だけど、その相手は誰でも良いわけではないからね。この領地は特殊だから普通の貴族のお嬢さんでは難しいはずよ。でも、珍しく今回の相手は根性がありそうなのよね。…………ふう、だからとっととサナを嫁に貰えば良かったのにあのバカ息子はこの土壇場で……。」
おお、後半母のイライラが出ている。
確かにこの魔物が出る地を治める領主の妻はお飾りではダメだもんね。
「リリーナ、私はちょっとここを離れることが難しいからあなたの目でリカルドのお見合い相手を見てきてちょうだい。」
母は最後にそう言って話しを締めくくった。
なんて役を与えてくれるんだ。
次の日、私たちは王都へと向かった。
たぶん馬車での移動だから明日の昼頃到着するはず。
そういえば兄とサナのことに気を取られていたけど、王都にはちょっと関わりたくないお人たちがいたんだよね〜。
レオン様とスミレ様はどうなったのかな?
結婚の話しはまだ聞こえてこないけど……。
まあ、兄に会いに屋敷に寄るだけだから会うことはないよね。
兄に会ってとっとと東の国に出発しよう。




