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暴走の果てに➄

結局アレン君にされるがままの私。

残り少なかった私の精神力は戦ってもいないのにゼロになってしまった。


だって、だって〜〜!

何でそんな顔で私のこと見てくるの?

もちろん本気で抵抗すればアレン君だって止めてくれることはわかっていた。

だけど…………ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ嬉しかったのだ。

私のことを心配してくれて、そしてそのことをストレートに表現してくれるアレン君が。


貴族的にはアウトなことだと思うけど、今更だしね。

そう思っちゃったらアレン君に本気の抵抗なんて出来なかった。

だからって結構長いことそのままだとは思わなかったよ!


さすがにもうそろそろ不味いと思ったサナが止めてくれなかったらいつまでもそのままだったよ、きっと。

サナさんや、止める気があったんならもうちょい早めでお願いしたかったです。



私は体力的には全く疲れていなかったが、今の一件で正直今すぐベットに飛び込みたい状態になった。

逆にアレン君は屋敷中の人を相手に立ち回っていたはずなのに、妙に元気だ。

なんか鼻歌まで歌っている。


アンジュさんはアレン君に何か耳打ちしている。

よく聞こえなかったけどどうやら褒めているようだ。

アレか?屋敷中の人を叩きのめしたからか?



私達がようやく公爵家から出ようとしていたところ、出入口のあたりが騒がしくなった。

何かドタドタッという人の足音が複数聞こえる。

そしてそこに姿を現したのは



「リリーナ!」


クリス様を先頭に警備隊と思しき人達がなだれ込んできた。

クリス様は真っ直ぐ私の方へ来て、そのまま私を……抱き寄せようとしたんだろうね、たぶん。

だけどそれは阻止された。

まずアンジュさんが私の腕に抱きつき、そしてアレン君がクリス様と私の間に割り込んだのだ。

双子の連携技だね〜。

なんて私が思っている間にアレン君とクリス様が睨みあっている。



「すまないが、リリーナの無事を確認させてくれないかい?」


とクリス様が切り出せばアレン君が


「大丈夫ですよ。リリーナ様は戦闘には参加されていませんから。それにさっき俺がよ〜〜く確認しましたから、怪我はありませんでした。」


と返す。

私の腕に抱きつきながらアンジュさんは小さな声で『よし!アレン、そこよ。もっと攻めて!』と応援をしているようだ。

なんだろう、この状態は……。

一緒に入ってきた警備隊の人達もどうしたら良いのかわからないようで、その場でアレン君とクリス様のやり取りを見ている。

もう、しょうがないなぁ。

私はアンジュさんの手をそっとはがし、アレン君の前に出た。



「クリス様、ご心配いただいてありがとうございます。でも、アレンの言う通り戦闘には参加しておりませんのでどこも怪我などはしておりませんわ。それより警備隊の方を連れて来ていただけたのですね。みんなが屋敷内の戦闘員と思しき人達を全て無力化したので、動けるようになる前に捕まえて下さい。それから……」


私はサスケさんを見た。

さっきアレン君がどついていた誘拐の中心人物を引きずって来ていたのだ。

1番計画に詳しい人を奥に置いておくのは如何なものかと思って。

途中、ゴンッ、ガンッとぶつかる音もしていたけどたぶん生きているでしょう。


「サスケさんが今引きずっている人がみんなを誘拐した中心人物みたいですよ。奥の方にいらっしゃったのでこちらまでお連れしました。」


「そうか……何から何までリリーナ達の世話になってしまったね。申し訳ない。」


クリス様がそう言って頭を下げられた。


「クリス様!お顔をお上げください。私達はただ、私達に危害を加えて来る人達をちょっと懲らしめただけですわ。だから頭など下げないで下さい。」


私の言葉にクリス様はクスッと笑って


「そうか……リリーナ達にとっては『ちょっと』なんだね。ああ、でもありがとう。今急遽会議が開かれている。公爵をどうするかのね。あれだけしっかりとした証拠もあるんだ、言い逃れはもう出来ないよ。」


「そうですか。……あとはクリス様達に任せますわ。私達は一旦宿に戻ります。やはり少し疲れてしまいましたので。」


そう、主にみんなの救出時に精神力をガッポリ持っていかれました。

早くベットでゴロゴロしたい。


「ああ、任せて。これぐらいしか出来ないからね。じゃあ、また後で。」


そう言うとクリス様は警備隊を引き連れて屋敷内へと入って行った。

……ん?後でっていつだろう、まあいいか。

やっと解放された私達は公爵家を後にし、宿屋へと戻っていった。



ーーその頃、西の国王城にて


「無理だ。」


「そこをなんとか……」


「駄目だ。」


「聞いてみるぐらい良いだろう?」


城ではリリーナの祖父である剣神とクリスの父である王が舌戦を繰り広げていた。


「リリーナにはこれから違う国も見せるつもりだ。ここで長居はしない。」


「何もそんなに急ぐこともないだろう?我が子達もリリーナ嬢に興味津々だし……」


「ふん、そうやってリリーナを懐柔する気だろう?もう、ゴタゴタは腹一杯だ。当分いらんわ。」


剣神と王のやり取りはまだまだ続く。



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