Gのときめき日記
苦手な方、ほんとうにすみません。
わたし、まだ生きてる。
もうだめかと思ったの。ニンゲンのけたたましい叫び、そしてぶん、と飛んでくる巨大な何か。風が渦巻き触覚が震える。
わたしはとっさに飛んだ。ヤツめがけて。
だから助かったのかもしれない。
ヤツはもっとすごい悲鳴を発しながら臭い風を巻き起こして暴れまくる。
その隙にわたしは壁に逃げ、そのまま隠れ家に入り込んだの。
わたしの仲間は次から次へとニンゲンに殺られてしまう。
ある者は、叩き潰されて。
ある者は、紙で押さえられ、ひねられてそのまま『といれ』という地獄に投げ込まれて。
もっと悲惨なのは、美味しそうなにおいにつられて、入ってはいけない館に入り込み、そのまま手足をべったりと貼り付けられて少しずつ餓死していくの。
ああ、まだあの仲間たちの悲鳴が耳から離れない。
わたしも、大切にものかげに産みつけた卵をすべて潰されたことがあった。
可愛い子どもたちの産声を聞くこともなく。
ニンゲンは汚い、臭い、けたたましい、巨大なくせにわたしたちを目の敵にして襲いかかってくる。こわい、ただこわいの。
逃げても逃げても執拗に追いかけてくる。時には、ようやく身を隠したシェルターさえいとも簡単に取り払って、わたしたちを白日のもとに晒す。
なのにこう言っているらしい。
「こわいよねー、Gってば!」
「みるたびに鳥肌がたつよねー、G」
こわいのはあなた方のほうなのに。
今宵も、わたしはふるえて眠るわ。
あなたがたの耐えがたい臭気のこもるこの世界のかたすみで。
おしまい