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第6話

次の日、朝から殺し屋、暗殺者クラスを含む4つのクラスでは武器の話題しか挙がっていなかった。

情報収集クラスも事後処理クラスも一応は戦闘訓練を受けるので武器を選らばないといけないのだ。

正史は結局機動力重視の武器にするらしく晴樹は昨日と同じで戦闘力重視の武器にするらしい。

斎藤がいつも通り点呼のない朝礼を済ますと今日1日の説明をし始めた。

「今日は午前も午後もない。武器が決まった奴から今日の授業は終わりだ。」

この言葉にクラス全員から歓喜の声が挙がる。

「では説明を始める。まずはお前達が考えて来たであろう希望の武器を聞く。それからその武器を使って簡単な試験を受けてもらう。その試験に合格すれば今日は帰ってもいい。」

要するに、武器との相性を調べるテストらしい。

「希望の武器通りいかなかったらどうなるんだろな??」

「さぁ??ややこしそうだから希望通りいってくれないと困るよなぁ。」

晴樹を挟んで座っている風牙が正史に話し掛ける。

「で、具体的にどんな武器にするつもりなんだよ??」

「俺は3段ロッドみたいなのにするつもり。昨日調べたらそんなん使ってる現役の暗殺者がいるらしくてさ。」

正史はどうやら昨日の夜、風牙が香澄といちゃいちゃしている間にいろいろ調べたらしい。

「晴樹は??」

「俺は刀にするつもりだ。」

「へぇ〜刀かぁ。……ありきたりだなぁ。」

この頃風牙は晴樹をからかうのにハマったらしくいつもちょっかいを出しては睨まれている。

「……そういうお前はどうなんだ??」

「俺はナイフかな??」

「ナイフ!?それだけ??」

「あぁ。完璧な機動力重視ってやつ??」

確にナイフだけを使うとかなり機動力が上がるのだが、殺傷能力があまりにも欠ける為、現在にナイフだけを使って暗殺を実行する者はいない。

それから30分後に希望武器調査表を渡された。

調査表を書き終わった生徒からシュミレーション室に移動するらしい。

調査表にはかなり詳しく武器の形や長さなどを書かないといけなくて、自分が思い描いている形を絵にも表さなくてはいけなかった。

しかし風牙は

「ナイフだったらどんなんでもいい。」

と言っていち早くシュミレーション室に行った。

「何だこれ??」

シュミレーション室にいた先生のほとんどが風牙の調査表を見て言った。

「東武……俺は詳しく書けと言ったはずだが??」

斎藤が頭を掻きながら調査表を風牙に渡す。

「いやぁ。でもマジで書いてある通りっすから。」

ちなみに風牙が調査表に書いた言葉は『一般的にナイフと呼ばれるものなら何でも可』だけだった。

あとは何1つ書いていない。

「ここで決まった武器は生涯使う事になるんですよ??」

「はい。わかってます。」

「………。」

「すみません。先生方、ちょっと。」

斎藤はそう言ってその場にいた先生を集める。

「あぁ言ってるんですし、一度試験を受けさせましょう。一度落ちれば真剣に考えるでしょう。」

斎藤以外の先生もこれで一応試してみると言う事で決まった。

「よし、じゃぁそこに入れ。指示は随時出していくからな。」

風牙は斎藤の言う通りに部屋に設置されてあるカプセルみたいな機械に入った。

「シュミレート開始。」

と言う斎藤の言葉と共に周りが歪んだ。

「………。さすが最新の機械だよなぁ。感覚までリアルだ。」

自分の体を触りながら感動している風牙にどこからか声がかかる。

「今からお前が行うテストは簡単な実戦テストだ。お前の前に強さは中の下ぐらいのターゲットを出すからそいつを倒せ。」

風牙は頭の中に響く斎藤の声にまたもや感動する。

風牙が感動の余韻に浸っていると目の前にいきなり人影が現れた。

風牙はとっさに戦闘体制をとる。

「じゃぁお前の武器は……ナイフだと何でもいいらしいからこれな。」

頭の中でそう声が響くと同時にポケットの中が重くなった。

「………バタフライナイフかよ。」

ちなみに敵は防具完全装備な上、槍を持っている。

「斎藤のやろぉ。生徒いじめか!!」

などと呟きながらも風牙はバタフライナイフを構える。

するといきなり相手が襲いかかって来た。

ただ槍を構えて突き進む一番オードソックスな突きだ。

風牙はそれを軽くかわし相手の右脇腹に蹴りを放つ。

「痛ってぇ!!!」

風牙の蹴りは澄んだ音と共にはねかえされる。

「痛みまでリアルなのかよ。」

そう言いつつ、風牙は敵との距離を詰める。

右に重心を移動させた瞬間に左に重心を移動させると言う基本のフェイクを入れながら今度は首筋を狙ってナイフで突き上げる。

そのナイフが届く寸前に頭上から槍が突き下ろされる。

「うわっ!!あぶね、あぶね。」

風牙は素早く相手との距離をとる。

「ったく……。バタフライナイフで槍に歯向かうとかただの馬鹿だろ。暗殺ならまだしも面と向かっての殺し合いだぜ??」

恐らくは聞こえてるであろう斎藤に文句を言いながら風牙は右足を少し後ろにずらす。

次の瞬間に風牙は地面を蹴った。

一気に距離を詰める。

右に来た風牙の攻撃を防ぐため右側を防御した敵を見て風牙は防御をくぐり抜けて敵の後ろに周る。

「これで終わりっ!!!」

そういいながら風牙は兜と鎧の間の隙間にバタフライナイフを突き刺す。

ナイフを刺された敵は声も挙げずに倒れた。

普通は声も出すらしいが、初めてでショックがあるといけないので武器認証試験では音声は切ってあるらしい。

そんな事を知るよしもなく風牙は声を挙げる。

「うわっ。声無かったら気持ち悪っ!!!」

思ったままの感想を言ったところで頭に斎藤の声が響いた。

「……シュミレート終了。」

その言葉と共に景色が揺れて風牙は元の部屋に戻された。


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