第4話
それから昼休みが始まる1時まで斎藤は喋り続けた。
その間に何人かが睡眠と言う現実逃避を行ったが斎藤によって現実に戻されてしまった。
ちなみに風牙も正史も現実逃避をした内の1人でだった。
「よし。じゃぁ午後からはまた違う授業をするから遅れずに教室にいること。遅刻者にはペナルティを与える。」
斎藤はそう言いながら風牙の方をちらっと見た。
正史はそれに気付いたようだが風牙は寝起きの顔でぼ〜としている。
「じゃぁ解散。」
斎藤のひとこで次々と生徒が教室を出ていく。
するといきなり今まで半分寝ていた風牙がバッと起き上がった。
「おい!!こら!!てめぇ!!!」
そう叫びながら前の席に走っていく。
どうやら授業が始まる前から溜っていたフラストレーションを発散したいようだ。
「ちょ、な、何するんだよ!?」
風牙はいきなり正史の隣人に後ろからヘッドロックをかけた。
「正史!!飯行こうぜ飯!!」
「はいはい。」
正史は隣人をヘッドロックしながら引きずっていく風牙の後に続いた。
「お、おい!!やめろって!!」
と言う声が廊下中に響いたが風牙は完全無視だった。
「あ、そう言えばこいつの名前って何だっけ??」
「さぁ??斎藤の奴点呼もしねぇし当てるときでさえ名前を呼ばないからな。」
ヘッドロックをかけられている本人を無視して2人は話を進める。
「名前を言うから離せ!!」
風牙のヘッドロックに耐えかねたのか風牙の腕の中で呟いた。
「………まぁいいや。じゃぁ教えろよ。」
何がまぁいいのかは全く謎だがとにかく風牙はヘッドロックを解いた。
「俺は中島晴樹だ。」
そう言って晴樹は立ち去ろうとする。
「待てって!!ちょっと待てよ!!!」
「………まだ何かあるのか??」
「昼飯一緒に食べようぜ??」
「断る。」
即答した。
「拒否権なし。」
風牙はそう言ってまたヘッドロックをかける。
「ちょ、また……わかったわかった。だから離せ!!」
風牙のせいで一緒に食べたくもない相手と昼ご飯を食べるハメになった晴樹であった。
「あ!!風牙発見!!」
3人で丸いテーブルを囲んでいると香澄と遙が近寄って来た。
「風牙くん〜!!」
遙は手を振りながらやって来て風牙の右隣に座る。
香澄はその後からやって来て風牙の左隣に座った。
正史と晴樹が意味深の視線が風牙に突き刺さる。
「あれ??また友達増えてるじゃん??」
「そう言うと友達いないみたいだからやめろよ。ちなみにそいつは中島晴樹って言うんだ。」
へぇ〜と頷く香澄と遙、あんまり興味はないようだ。
それから5人(晴樹はあまり喋らなかったが)で喋っていると香澄のクラスメイトが来た。
「香澄〜。遙〜。そろそろ戻んないとマズいよ。」
「あ、ほんとだ。早くしないと。じゃぁまたね風牙くん。」
遙はそう言って食器を片付けに行った。
「じゃぁ私もそろそろ帰ろ。」
香澄も立ち上がる。
「あ、そうだ。風牙、今日の夜暇??」
「??あぁ。別に大して用事はないけど??」
風牙は香澄のよくわからない質問に疑問を抱きながらも答える。
「じゃぁ電話して。」
はい、じゃぁこれと電話番号を書いた紙を渡して香澄は立ち去って行った。
「いやぁ。モテる男は辛いねぇ。」
風牙が言った瞬間正史と晴樹に睨まれた。
「じ、冗談冗談。」
弁解する風牙を無視して正史と晴樹は立ち上がる。
「おい!!ちょっと待てって!!!」
さらに無視。
「あいつらにこう言う系の冗談は禁止か!?」
あくまで独り言を言う風牙は先々歩いて行く2人を追いかけて行った。
午後からの授業は暗殺者の使う主な武具を勉強した。
プリントを渡されて、その1つ1つの説明を聞いたのだった。
午前中と違って生徒にとってかなり興味のある内容だったので誰も寝ていなかった。
暗殺者の武具は主に標的を殺傷するための武器、情報家と連絡を取り合える通信機とに分かれる。
今回は武器についての説明だった。
武器は主に殺傷力重視、機動力重視、生存率重視の3つに分かれる。
殺傷力重視はその名の通り標的を殺す事を第1に考えた武器、機動力重視の武器は大して殺傷力はないが見つからずに行動できるように小型の武器が多い、生存率重視はとにかく生存する事を1番に考えて作られている。
暗殺者にいくら機動力が大事だからと言って標的を殺せない武器を持っていても仕方ないので、普通は殺傷力重視の武器を使う暗殺者が多い。
「明日は自分がどんな武器を使うのかを決める。明日までによく考えて来るように。では解散。」
時計の針が5時を過ぎた時に斎藤は言った。
「風牙はどんな武器にするつもり??」
やっと授業が終わってホッとした顔の風牙に正史が聞く。
「俺??やっぱ機動力重視かな??正史は??」
「俺は殺傷力重視だ。」
「ふ〜ん。じゃぁ晴樹は??」
風牙が自分の右隣に座っている晴樹(風牙が無理矢理席を変えた)に聞く。
「………殺傷力。」
「やっぱりそうかぁ。定石だよなぁ。」
「標的を殺せなければ意味がない。」
「俺もそう思う。」
殺傷力重視の武器を選ぼうとしている2人が言う。
「まぁいいや。それより早く帰ろうぜ。」
「俺は一緒には………。」
「一緒に帰ろうぜ!!!」
て言う事で3人(1人は嫌々)は帰路に着いた。






