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第17話

「任務を始める前に装備を選んで。」

シュミレーション内に木村の声が響く。

「じゃぁ白い暗殺服を。」

「白!?めっちゃ目立つじゃん!?普通黒でしょ??」

大事な試験なのにまさかのサプライズ発言をした風牙に香澄が非難の目を向ける。

「大丈夫だって。誰にも見られねぇ自信の表れだから。」

そう言う風牙の目が輝いているのを見て香澄は止める事を諦めた。

「武器はサバイバルナイフ2本と投的ナイフ3本、ミリタリーナイフを1本。」

「じゃぁ次は通信機ね。生徒番号1825の通信機をシュミレーション内にダウンロード。装備として使います。」

「どんな通信機なんだ??」

「最新型よ。ちょっと雄平くんに手伝ってもらったけど。映像はコンタクトレンズ型。音声はイヤリング型。ちなみに声に出さなくても伝わります。」

香澄は自分の功績を自慢する様に風牙の方を向く。

「それゎすげえなぁ。違う事考えてても伝わるのか??」

「全部伝わるよ。任務中にやらしい事は考えないよぉに。」

「全部かぁ。そりゃぁ弱冠不便だ。」

話が違う方向に行ったので木村が止めに入った。

「準備出来たならシュミレート開始しますがよろしいですか??」

「あ、はい。大丈夫です。」

香澄の返事と共に周りの景色が歪んだ。



シュミレーション始めの独特の感覚がやっと消えた時、風牙は森の入り口に立っていた。

「何じゃこりゃ??森??」

(風牙??聞こえる??)

いきなり頭の中に香澄の声が響く。

「うぉ。すっげ〜通信機だな。聞こえてるよ。」

(じゃぁ今から任務内容を伝えます。その森の中の要塞に今回のターゲットが捕まえられてるの。まず要塞の位置と森の上空からの衛星写真をアップロードします。)

香澄がそう言った瞬間風牙の左目に映像が浮かび上がった。

「これもすげ〜な。しかも作業早くなったじゃん。」

(いろいろ努力したからね。誉めてくれないの??それと声には出さなくてもいいわよ。)

(すげぇすげぇ。ってかこれで伝わってんの??)

風牙はそう思いつつ左目に写る地図を便りに要塞に向かって歩き出す。

(伝わってるわよ。適当に誉めてる事も丸分かりです。ちなみに要塞の出入り口は1つ。周りは5メートルの壁と監視カメラ。どうする??)

(監視カメラを制御できないのか??)

(長くするとバレちゃうから15秒ぐらいならできる。)

(十分だ。南南西のカメラを3台制御してくれ。合図はまたする。)

風牙は香澄にそう伝えると足を速めた。

今回の試験は速さも評価対象になるらしいのでこんな所でゆっくりしている暇はないのだ。

(ターゲットの写真をアップロードするね。)

香澄の言葉と共に女の子の写真が左目に映る。

(へぇ。かわいいじゃん。)

(シュミレート内の女の子に惚れない様に。)

(……不便だな。香澄の思ってる事は分かんねぇのか??)

(私の方は声に出さないと伝わりません。)

「………。」

風牙は何も思わない様にしつつ道を南西に逸れた。

そこから少し歩いた所に壁が見えた。

(見えたぜ。)

(要塞内部の構造をアップロード。どうやって侵入するの??)

(安心してろって。ワイヤー使って上がる。今から30秒後に監視カメラを制御してくれ。)

(20秒でできるけど??)

(じゃぁ15秒だ。)

訳の分からない会話をしつつ15秒が経過した。

(監視カメラ制御まで5、4、3、2、1、制御。)

その瞬間風牙は走り出した壁の手間3メートルで暗殺服に装備されているワイヤーを壁の上部に設置する。

そしてそのままのスピードで壁の1メートル手前まで走り、勢いを殺さずジャンプすると同時にワイヤーを巻く。

ジャンプした勢いとワイヤーの力が合わさって風牙が壁の上部に到着するまで10秒とかからなかった。

(さすが。)

(どうも。ここからの侵入ルートは香澄に任せる。)

(オッケー。じゃぁまずそこから北東に10メートル。7メートル地点の建物内に敵がいるから。)

香澄のナビゲートとほとんどタイムラグなしで風牙は動き出す。

(そこから中に入って。すぐ左の部屋の中に入って。左端の通気孔から上に繋がってるから。ターゲットは3階にいます。)

(通気孔内に赤外線装置は??)

(無いわね。この要塞、ハイテク面は心配しなくて大丈夫よ。その代わり護衛が強いかも。)

(その辺は俺の腕の見せどころだろ??)

(期待してるわ。)

(3階に着いたはずだぜ。)

(あ〜ちょっとマズいかも。通気孔から出る部屋に3人兵隊がいるわ。MR-2持ってる。)

(MR-2??)

(軍用機関銃よ。マズいかも。)

(その部屋の敵の位置をアップロードしてくれ。)

風牙が要請してすぐにアップロードがされる。

(なんとかなる??)

(あぁ。なりそうだ。出るタイミングは香澄に任せる。)

(じゃぁ10秒後に突入。8、7、6、5、4、3、2、1、突入。)

香澄のカウントと共に風牙は通気孔から出た。

いきなり人が上から降って来たので兵隊の動きが一瞬止まる。

そのすきに風牙はナイフを2本投的し2人の喉を直撃させた。

残りの1人はやっと反応して風牙に銃を向けたが風牙の回し蹴りが下顎に直撃した上に壁に頭を打ち付けた。

(またまたさすが。)

(さすがって思うんだったら戻ってからキスぐらいしてくれよ。)

(う〜ん。考えとく。そこの部屋をでて左の突き当たりの部屋にターゲットがいるわ。護衛兵は3人。)

(3人か……。不意打ちはできねぇの??)

(弱冠無理があるわね。ま、風牙なら大丈夫よ。頑張って!!)

無責任な事を香澄が言い始めたので、風牙はこれ以上香澄に頼る事をやめた。

(まぁなんとかなる……か。)

(そぉそぉ。風牙がちゃんと努力してたのは私が知ってるよ。)

独り言のつもりのセリフに律儀にも返事を返す香澄を無視して風牙は部屋を出た。

そのままターゲットのいる部屋の前まで行き、普通にドアを開けた。

「……なんだお前は??」

護衛兵3人が一斉に銃を構える。

風牙はターゲットの隣にいる護衛兵に向かってナイフを投的すると共にミリタリーナイフで自分の近くの敵を攻撃した。

(危ない!!)

頭の中で香澄の声が響くと同時に銃声がした。

正確に心臓を狙った弾は風牙の心臓に到達する前にミリタリーナイフに阻まれた。

「悪ぃな。銃はけっこう前に克服したんだ。」

そう言い放ち風牙は最後の1人も倒した。

(早くしないと銃声聞いて誰か来るかも。)

香澄の声と同時に風牙がターゲットに近付く。

縄を解いてターゲットを抱き上げた時風牙は不覚にも

(うわっ!!感触までリアルだなぁ。柔らけぇ。)

と思ってしまった。

(……変態。)

「か、かってに頭覗くな!!」

思わず声に出して叫んだ時、足音が近付いて来た。

(香澄、脱出経路の指示頼む。)

(じゃぁそこの窓から降りて。)

(窓!?)

(3階だから大丈夫。)

風牙はこれ以上文句を言わずにワイヤーを使って下に降りた。

(もう監視カメラ制御しなくていい??)

(あぁ。大丈夫だ。)

そう言って風牙は行きと同じ方法で壁を乗り越えた。

「ミッションコンプリート。作戦時間25分32秒。シュミレートを終了します。」

地面に足が着いた瞬間音声が流れて景色が歪んだ。


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