第15話
「な……!?」
風牙が外に出るとそこには武装兵がたくさんいて、風牙を囲んだ。
隊長格の兵が右手を上げたと同時に一斉に銃声が聞こえ、周りの風景が歪んだ。
「ミッション失敗。シュミレートを終了します。」
とナビゲートが冷酷にも告げて、風牙と香澄はシュミレーション内から戻って来た。
「これを見て2人で反省会でも開け。」
そう言って斎藤が1枚の紙切れを香澄に渡す。
「次のペアは……。」
木村が生徒の名前を読み上げる。
風牙と香澄は無言でシュミレーション室を出た。
「ナビゲーターの位置把握及び暗殺者の独自判断。」
香澄が紙を見ながら失敗した理由を読み上げる。
「あなたが勝手に気絶させた事務員が通報して侵入がバレたって設定だって。」
「………俺のせいかよ。でもお前の位置把握まダメだったんだろ??」
「うん。始めに風牙探すのが遅れたのと階が変わった時の位置把握かな。」
「………。」
「………。」
これが2人の反省会だった。
お互いを責める訳でもなく、ただ自分の犯したミスを自分自信で確かめるだけの反省会。
それから2人は特に喋る事もなくシュミレートをする前に正史と遥と約束した食堂へ向かっていた。
「あ、その空気は香澄達もダメだったんだね??」
食堂に着くなり遥が一番始めに口にした言葉である。
それから4人で今回のシュミレート試験の文句を言い合っていた。
1時間半ぐらいたって晴樹が雄平を連れてやって来た。
「あ、その空気は晴樹くん達もダメだったんだね??」
遥がまた言った。
「いや、成功した。」
それだけ言って2人は席に着く。
「……じゃぁ何でそんなテンション低いんだよ?!」
正史がすかさず突っ込む。
「寡黙な2人だからそぉ見えるだけでしょ??」
その問いに香澄が答える。
「弱冠危ない2人組だよな。」
風牙が茶化しに対し晴樹だけじゃなく雄平まで風牙を睨む。
これにはさすがの風牙も黙った。
「ってかさすがだよね。2人とも。」
「そぉそぉ。すごいじゃん。」
女の子2人はそれぞれ自分のペアに意味ありげな視線を送りつつ晴樹と雄平を誉める。
「くっそ〜!!なんか悔しいな!!」
「……当然の結果だ。」
「うるせぇ!!次は負けねぇからな。」
と言った風な会話をさている間に遥は居眠りを始めた。
「昨日緊張してあんま寝てないらしいから。」
そう言って香澄は寝惚ける遥を連れて寮へと戻って行った。
「じゃぁ俺達も戻るか。」
と言う正史の一言と共に男子陣も寮へと戻って行った。
始めてのシュミレーション以来晴樹と雄平は今まで通り着々と力を付け学年トップの位置に座り続けた。
正史と遥は2人の息を合わせる事に力を注ぎ、お互いの力を引き出しあえる関係を作った。
香澄は雄平から技術を学んだり、基礎を固めたりと、とにかく努力に努力を重ねていた。
一方風牙は相変わらずだったが、陰では人の10倍を軽く越えるくらいの努力をしていた。
香澄みたいに表だって努力をし、他人に協力をしてもらうと言うタイプではないので朝早く起き、夜は遅くまで鍛練を積んだ。