第12話
晴樹のペアが決まったのは風牙達が報告をし終わってから15分ぐらい後だった。
「お、晴樹決まったみたいじゃん。」
「……あれって男だよな??」晴樹の隣にいる生徒を見て正史が呟く。
「あいつってそんな趣味だった??」
「でも一組だけ男のペアができるはず。」
暗殺者クラスは男子18人2人、情報収集クラスは男子3人17人なので男子と女子でペアになると1つだけ男子のペアができるのだ。
「あれって東雄平くんだよね??」
「あ、ホントだ。晴樹くんが選びそうな相手だね。」
香澄と遥は何故か納得している。
「知ってんの??」
「当たり前じゃん。同じクラスだよ??」
「どんな奴だよ??」
「性格はあんましかなぁ。寡黙だし一緒にいても楽しくない。」
「そんな事聞いてんじゃねぇよ。」
風牙と香澄が夫婦漫才をしている間に遥が説明をし始めた。
「技術はウチのクラスで断トツで1番。パソコンに関してはプロ並の知識持ってるしね。」
「なるほど……晴樹が選びそうだ。」
正史は納得できたみたいだ。
「風牙と違って実力で決めたんだな。」
正史がぼそっと言った言葉を風牙は見逃さなかった。
「どう言う意味だよ!?」
「そうだよ!!私に実力ないみたいじゃん。」
香澄も不満を示す。
そこに晴樹が戻って来た。
「あれ??いとしい雄平くんはどうしたんデスか??」
早速風牙がちょっかいをかける。
「………。」
……無視。
「ねぇ。午後から何すんの??」
遥がいきなり話題を変えた。
「シュミレートだ。」
この中で一番しっかりしているのは晴樹らしい。
「シュミレートかぁ。じゃぁ俺と香澄の初めての共同作業って奴??」
風牙が香澄にからかう視線を向ける。
「よく言うよ。手繋いだ事もあるし、一緒にお風呂もあるじゃん。」
「…………。」
(正史)
「…………。」
(遥)
「…………。」
(晴樹)
香澄の言葉に空気が氷ついた。
「あ〜あ。変な勘違いしたじゃねぇか。」
「ち、違う!!!小さい時だって!!!風牙も黙ってないで何か言ってよ!!!」
別に気にしていない風牙を香澄が叩いた。
「やっぱりかぁ。それじゃぁ私の入る余地は無いなぁ。」「なんで嘘ついてんだよ。」
「まぁ大体わかってたけどな……。」
3人の言葉を聞いて香澄は肩を落として風牙をにらんだ。
「何だよ??」
「風牙が変な話題振るからだ。」
「俺と恋人がそんなに嫌か??」
「い、嫌じゃな……。」
桃色の空気が見え始めた時、木村の声が響き渡った。
「全員決まりましたからシュミレーション室に集まって下さい。」