ガラスの靴より舞踏会は月夜の下でいかが?
こんな夢を見たっていいじゃない?
※「第7回小説家になろうラジオ大賞」応募作品です
あの素敵なお城での舞踏会。
そんなものは夢のまた夢だと思ってた。
だって、私はごく平凡な町娘。
でも、一度ぐらいは夢見たっていいじゃない?
そう、優しい妖精さんがやってきて、にっこり笑って魔法の杖を軽やかに振る。
すると、私の服はたちまち純白のドレスに、靴はガラスの靴に変わる。
それからカボチャの馬車が迎えに来てくれて、私はあの素敵なお城へ招かれる。
そこには勿論、誰の目をも細めさせる眩しい笑顔の王子様がいる。
そして、私はその王子様と一二時の鐘が鳴るまで踊り続けるの。
なぁ~んてね。
そんな事はあるはずないって思ってた。
でも、そんな夢みたいな事が本当に起こった。
決して、妖精さんが現れたんじゃない。
あの素敵なお城の王子様が私を舞踏会に招待してくださったの。
でも、私だけじゃない。
王子様はこの町の気になる娘に、みんなそうしたみたい。
だけど、それでも嬉しい。
こんな素敵な純白のドレスと白い皮の靴の招待状が届いたのだから……。
☆
あのドレスを着て、靴を履いた私の胸は今ときめいてる。
だって、カボチャの馬車もなかったけど、私はあの素敵なお城まで来てるから。
今日は招かれた舞踏会の日。
でも、やっぱり多くの素敵なドレスを着た美しい娘達がいる。
その娘達を見た私のときめきはどこへやら。
やっぱり、帰ろう。
だって、あんなに美しい娘ばかりで私が踊ってもらえる訳がない。
それに、何か一人だけ変わった娘もいる。
そうね、舞踏会じゃなくって、武闘会がぴったりな娘。
王子様はそういう娘も好みなのかしら?
そう思ったけど、帰れない。
だって、あの夢のお城からの招待なのだから。
でも、そんなお城では舞踏会は待ってなかった。
待っていたのは片方のガラスの靴を手に入れた娘が王子様の側室になれるという争奪戦。
その争奪戦では先程までの娘達はみんなモンスターと化していた。
そして、夢が壊れた私はいつの間にか気を失っていた。
★
目が覚めた私は何故か月夜の下にいた。
そして、私の傍にはあの武闘会がぴったりな娘。
……娘じゃない。男性!?
それに気付いた私に、笑って彼はこんな事を言った。
自分は舞踏会に参加したくない姉の身代わりで参加していただけ、と。
そして、そんな彼は私に素敵な悪戯な笑顔とあのガラスの靴をくれてこう言った。
「これ、どうする?」て。
だから、その靴を受け取った私は月に届くぐらい思いっきり投げて笑ってこう言った。
「 一二時の鐘が鳴るまで私と踊っていただける?」
まずはここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!
うーん…。最後をどうしようか迷ってちょいと恋愛要素を入れてみたでやんす♪
候補としてはゴリラ姉ちゃんとの女の友情ってのもあったのも事実!
今度はそういうのも描いてみたいな♪
とまあ、前振りはこの変で…。
お分かりでしょうが少しだけ『シンデレラ』の話を入れてみました♪
『シンデレラ』に出てくる『ガラスの靴』…。
作品によってはそうじゃないものがある!?
確かに、『ガラスの靴』は履けないものねぇ(汗)
なので今回は『シャルル・ペロー』の原作の『皮の靴』を採用しました!
この作品のヒロインには月明かりの下、12時まで踊ってほしかったもんで…。 紅pでした☆




