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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


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第89話 運命の出会い

 リオンはドルスの安宿に荷を下ろすと、ほっと息を吐いた。

 部屋は狭いが清潔で、久しぶりに落ち着いた空間に腰を下ろすと、心の奥が少し軽くなる。


 しばらく休んだあと、街の様子を知るために外へ出た。

 港町らしい通りは活気にあふれ、商人や旅人が行き交っているが、戦争の噂が人々の表情に影を落としていた。


 狭い裏通りに差し掛かったとき、リオンの目に映ったのは路地の影でうずくまる一人の女性だった。

 耳と尾が狼のように生え、毛皮の混ざった髪は乱れ、手には小さな赤ん坊を抱いている。

 彼女は血の滲んだ布で自分と赤ん坊の体を押さえ、呼吸は荒い。周囲を見ても、助けてくれる人の姿はなかった。


 奴隷の女性だった。


「……大丈夫か?」


 リオンは慎重に近づき、荷物を下ろすと赤ん坊の様子も確認した。

 女性はかすれた声で答える。


「……助けて……赤ん坊……」


 リオンは落ち着いて応急処置を始めた。布で圧迫し止血し、体温を保ち、赤ん坊も丁寧に抱き上げる。

 女性は微かに息を整え、少しだけ顔を上げた。


「名前は?」


「狼族……ルナ……」


 リオンは優しく言う。


「安心しろ、もう大丈夫だ。街の人間に見つからないように、俺が安全な場所に連れて行く」


 ルナの瞳には狼族特有の鋭さが残っていたが、痛みと絶望に伏せた目に、少しずつ信頼の光が戻っていく。

 リオンは小さくつぶやいた。


「……この国でも理不尽はある。でも、俺が助けられるなら、やるしかない」


 赤ん坊を抱き、ルナを木の板に乗せて引きずりながら、リオンは街を離れ安全な場所を探し始めた。

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