第82話 歪んだ街
街テントに入ったリオンは、まず宿を探した。
だが、門近くの宿屋に掲げられた値段表を見て、眉をひそめる。
「一泊素泊まり、銀貨五枚……? はぁ?」
銅級冒険者が泊まるような安宿でさえ、通常なら銅貨数枚程度で済むはずだ。
街を歩き、別の宿にも足を運んでみたが、どこも似たような料金設定だった。
「……やっぱり高すぎる」
酒場に入ってみると、酒一杯で銀貨一枚、パンとスープで銀貨二枚。
市民が愚痴をこぼしているのが耳に入る。
「王都がもう内乱寸前で、中央の管理が効かなくなってるんだ」
「貴族が自分勝手に税を取り立てて、その余波で物価が上がってるのさ」
「テントは国境の街だから、兵士と役人がやりたい放題だ」
リオンは聞きながら、銀貨を数枚出して簡素な食事を頼む。
出てきたスープをすすりながら、内心で吐き捨てた。
「……戦争も嫌だが、こういうのも嫌だな。王都が乱れてるからって、街全体が腐ってる」
食事を終え、外へ出ると街の空気の荒みがさらに感じられる。
通りでは小競り合いが絶えず、物乞いと衛兵の衝突まで起きていた。
リオンは小さくため息をつき、夜空を見上げる。
「さて……この国に長居するのは危なそうだ。少し様子を見て、次を考えるか」




