第81話 高すぎる通行料
数日かけて街道を進み、リオンはついに ガルディア王国の国境の街テント にたどり着いた。
石造りの城壁と高い門が街を囲み、衛兵たちが厳重に警備している。
入国の列に並び、自分の番が回ってくると、無精髭を生やした兵士が無愛想に言った。
「身分証を提示しろ」
リオンは懐から 銅色の冒険者カード を取り出し、差し出した。
兵士はじろじろと眺め、鼻を鳴らす。
「ふん、銅級か……通行料は銀貨二十枚だ」
「……は?」
リオンの目が細くなる。
銀貨二十枚、普通なら国境通行にかかるのはせいぜい数枚だ。
後ろに並んでいた旅商人が小声で囁く。
「ここの通行料はいつも高いんだよ。兵士と役人が裏で懐に入れてるって噂さ」
リオンは心の中で舌打ちした。
(戦争を避けて来たのに、今度はこれか……)
渋々、銀貨二十枚を差し出すと、兵士はぞんざいに受け取り、門を開けた。
「入っていいぞ。次!」
街へ入った瞬間、リオンは小さくつぶやいた。
「……嫌な感じだな、バルディア王国」
通行料で削られた財布の重さを確かめながら、リオンはテントの街並みに足を踏み入れた。




