第06話 山での狩猟
数日後、俺は使用人のアンセルと数人のメイドと共に山へ入った。
腹の虫を収めるには食料を自分で確保するしかない。
「リオン様、本当に……狩猟などされますか?」
アンセルは心配そうに言うが、俺は笑ったような顔で首を振る。
「大丈夫だ。俺は昔から……こういうのは得意だ」
傭兵として生き延びた経験が、頭の奥で静かに動き出す。
獲物を探し、足跡を追う。
森の匂い、土の感触、葉擦れの音。全てが五感に入る。
ほどなく、藪の先にイノシシが現れた。
俺はボウガンを構え、息を殺す。
機械仕掛けで弦を引き、狙いを定める。
五歳の体であることなど忘れていた。
「よし」
ボルトが放たれ、獲物は一瞬で倒れた。
急いでナイフでイノシシの首を切り血抜きをする。
次にシカを見つけ、同じ手順で仕留める。
子供の体ながら、傭兵の手腕は正確無比だった。
狩りが終わると、俺はアンセルとメイドにお願いして紐で木の枝に獲物を逆さに吊るさせる。
イノシシもシカも、重さで枝がしなった。
だが俺は冷静に処理を進める。
小さな声で鼻歌混じりに、俺は獲物の解体を始めた。
刃を入れる角度、筋肉の流れ、血の流れを計算しながら、無駄なく切り分ける。
アンセルは黙って見守る。
驚きと恐怖、そしてわずかな尊敬の入り混じった表情だ。
傭兵の血が流れるこの子供。リオン・アルベール。
泣き虫だったあの姿はもう見えない。
山の空気と、冷たい川の水で身体を清め、解体した肉を分けて袋に入れ籠に背負う。
この夜、屋敷に持ち帰る食料は、もう貧弱な粥ではない。
自分の手で仕留めた、命ある食料だ。
俺は少しだけ笑った。




