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第61話 旅立ちの日
リベストの街外れ。
朝の光が差し込む中、リオンは馬車の荷物を最終確認していた。
ハロルドが傍らで馬車を整え、旅の安全を確認する。
そこへゼルファと、ゼルファ商会の仲間たちが集まってきた。
量産の作業で共に汗を流した仲間たち。
技術者や職人たち、パソコンを駆使して装置を管理してきたスタッフが、笑顔で、そして少し寂しそうにリオンを見つめる。
「リオン、小僧……ついに旅立つんだな」
ゼルファが微笑みながら頭を撫でる。
「無茶はするなよ。道中は安全第一だ」
リオンも笑顔で答える。
「ありがとう、ゼルファ。みんなのおかげでここまで来られた」
仲間たちは手を振り、エールを送る。
「行ってこい、リオン!」
「無事で帰れよ!」
リオンは馬車に乗り込み、ハロルドと共に御者に合図を送る。
馬の蹄の音がリベストの街角に響き渡り、二人の冒険の旅が静かに始まった。
振り返ると、ゼルファや仲間たちの笑顔と手を振る姿。
その光景を胸に刻み、リオンは新たな世界へと踏み出す。




