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第59話 旅立ちの準備
リオンは冒険に出る前、秘密の倉庫。
スキルで呼び出したセーフハウスに立っていた。
整然と並ぶ魔導装置、道具、パソコンやソーラーパネル。
彼は一つひとつ手に取り、ゼルファに渡す準備をする。
「ゼルファ、これを持って行ってほしい」
リオンは予備のパソコン、予備のソーラーパネル、予備の充電機を手渡した。
ゼルファは目を輝かせ、丁寧に受け取る。
「ありがとう、リオン。君がいなくても、これで商会は安心だ」
そしてリオンは静かに心の中で唱える。
《家回収》
光が瞬き、倉庫内のセーフハウスは完全に消え去る。
これまで二年間、二人の研究と発明を支えてきた空間が、目の前から静かに姿を消した。
リオンは最後に倉庫の鍵を手に取り、ハロルドの商会の管理者に渡す。
ゼルファに機材を渡し、リオンは冒険者としての新たな一歩を踏み出す準備を行う。
深く息を吸い込み、胸に冒険への期待を膨らませながら……。




