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第58話 冒険への衝動
リオンとゼルファが秘密倉庫で魔導学を研究し、新たな魔導装置を開発してから、すでに二年の歳月が流れていた。
量産と販売も軌道に乗り、商会は安定した収益を得るようになっていた。
リオンは12才。
だが、実年齢はわずか7才か8才ほど。
身体は小さいが、知識と技術、そして経験は大人顔負けだった。
ある日の夜、倉庫の窓から星空を眺めながら、リオンはふと思った。
「……外の世界を見てみたいな」
冒険者のように旅をして、新しい発明や魔導装置のアイデアを見つけたい。
そんな衝動が胸の奥から湧き上がる。
翌日、リオンはゼルファに軽く相談する。
「ゼルファ、少し旅に出てみたいんだ」
ゼルファは驚きながら微笑み、静かに頷いた。
「分かった、小僧。無茶はするなよ。でも、君なら大丈夫だろう」




