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第51話 準備と制作
深夜の王都リヴェルン、人気の少ない広場。
リオンは静かに立ち止まり、心の中でスキルを唱える。
《家移転》
瞬間、光が閃き、かつてのセーフハウスが目の前に現れた。
扉を開けると、整然と並ぶ備蓄と道具、工房設備。
リオンはすぐに棚から薬剤と点滴を選び出す。
結核に効く可能性のあるものを慎重に確認し、点滴も用意する。
すべての準備を整えたリオンは、箱にまとめて朝に再び王都へ向かう。
風が冷たいが、少女のためにやるべきことを思えば、寒さも気にならなかった。
男爵邸に戻ると、幻影絵本の制作に取り掛かる。
箱型の装置を開き、光源や投影板を調整する。
物語の順序、妖精や仲間の動き、星座の変化……すべてが完璧に見えるように、細部まで光と音を組み合わせる。
光の演出と音楽が連動する瞬間、リオンは自分の胸の中で小さな達成感を覚えた。
これで少女は、少しでも安らぎ、笑顔を取り戻せるかもしれない。




