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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


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第50話 男爵令嬢のために

 王都リヴェルン、フィリップ男爵邸。

 リオンは重々しい扉をくぐり、応接室に案内されると、男爵が静かに座って待っていた。


「リオン殿、ようこそ」


 男爵は微笑みながら立ち上がると、慎重に話を切り出した。


「今回、娘の誕生日というわけではありませんが……最後に見せるための幻影絵本を作っていただきたいのです」


 リオンは頷き、机に置かれたメモとスケッチを見つめる。


「では、内容はどのような物語にされますか?」


 男爵はペンを取り、物語の構想を語り始める。


「主人公の小さな妖精が、星座を旅しながら仲間と出会い、困難を乗り越えていく……そんな話にしたい」


 リオンは静かに頷き、投影する光や音の演出を頭の中で組み立てる。

 すると男爵の顔色が一瞬曇った。


「……実は、娘の体調が思わしくなく、病は深刻です」


 男爵の声には、抑えきれない心配が滲んでいた。


「高熱が続き、夜も眠れぬことがある。咳も長く止まらず……医者に死病と言われた」


 リオンは眉をひそめ、少女の症状を整理する。


(……もしかすると、結核かも……)


 頭の中でつぶやきながら、病状を頭に刻み、光と音で少女を少しでも慰める方法を考えた。


 男爵は深く息をつき、リオンの目を見て言った。


「リオン殿、どうか、最後にこの光の物語で彼女を笑顔にしてやってください」


 リオンは静かに頷き、心の中で決意を固めた。

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