第40話 生産商会設立
リベストの街外れ、リオンとゼルファは古い倉庫を改装し、生産商会を設立する準備を進めていた。
壁には工具や部品が整然と並び、棚にはミスリル粉や魔石、完成したライトや幻灯機の試作品が積まれている。
「よし、これで量産だけでなく、研究も同時に進められる」
ゼルファは目を輝かせ、設計図を広げながら指示を出す。
「まずは職人と助手を数人雇おう。装置の組み立て、魔石処理、箱の加工……作業を分担すれば効率が上がる」
リオンは倉庫内を見渡しながら、段取りを考えた。
数日後、街の職人や若い助手たちが集められ、簡単な面接と説明を受ける。
リオンは一人ずつ名前を呼び、役割を振り分けた。
「君は箱の組み立て、君はライトの仕上げ、君は粉の加工担当だ」
ゼルファは傍で口を出す。
「魔力なしで粉を扱える手袋の使い方は必ず覚えさせろ。さもなくば大惨事になるぞ」
新しい従業員たちは最初こそ戸惑いながらも、リオンとゼルファの指導で徐々に慣れていく。
光るライトやクマ幻灯機を見せれば、士気も上がり、笑顔が広がった。
「これで……商会として本格的に動ける」
リオンは倉庫の中を見渡し、整然と並ぶ材料と完成品を確認する。
ゼルファも満足げに腕を組み、リオンの肩を叩いた。
「ふむ、小僧……これなら街全体に我々の発明を広められるな」
こうして、リオンとゼルファの生産商会は正式に稼働を始めた。
人を雇い、量産体制を整え、街の需要に応える。
リオンの発明は、単なる趣味や試作品ではなく、経済活動として動き出したのだった。




