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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


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第38話 工房の奮闘

 ハロルドの商会からの注文を受け、リオンとゼルファはリベスト郊外の小さな工房に籠もっていた。

 机の上には削られた木材、金属片、ミスリルの粉、魔石を仕込んだ手袋……そして完成を待つ幻灯機やライトがずらりと並んでいる。


「……こんなに数を作るなんて、久しぶりだな」


 ゼルファは目を細め、工具を握り直す。


「私は研究者だぞ? 大量生産なんて奴隷の仕事だと思っていたのに……くくく。だが不思議と楽しい」


「ゼルファがいないと絶対無理だよ」


 リオンは真剣な表情で木枠を組み立てる。


「幻灯機は仕掛けが複雑だし、おもちゃライトも部品を揃えるだけで大変だ」


「ふん。小僧のアイディアが無ければ、私もこんな汗をかくことはなかったがな」


 そう言いながらもゼルファは器用にミスリル粉を魔力で加工し、透過板を作り上げていく。

 リオンは横でゼルファ作の手袋を装着し、ゼルファの動きを真似してミスリルを扱う。

 まだ不器用だが、なんとか粉を定着させ、部品の一部を仕上げられるまでに成長していた。


「ほう……お前もやればできるじゃないか。まさか魔法が使えぬ小僧が、ここまで出来るようになるとは」


「まだまだだよ。でも……完成品を持って喜んでくれる人がいるなら、もっと頑張れる」


 二人は息を合わせ、夜を徹して組み立てを続けた。

 昼は部品の加工、夜は仕上げ。

 気付けば工房には、可愛らしいクマの幻灯機が何十個も並び、シンプルなおもちゃライトは百本近く積み上がっていた。


 ゼルファは完成品を眺めて、肩を震わせ笑った。


「ふははは! 変な研究より、こっちの方が世に名を残せるかもしれんな!」


「それ、研究者としてどうなの……」


 リオンは苦笑しながらも、心の底では誇らしさを覚えていた。

 こうして二人は、奇妙な師弟のような関係で、“量産工房”の日々を過ごすことになるのだった。


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