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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


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第34話 おもちゃライトのテスト販売

 リベストの街中。

 夕暮れの光が石畳を照らす中、リオンは小さな袋を肩に掛けて歩いていた。

 袋の中には、自分が作った“おもちゃライト”がいくつも入っている。


 向かう先は、いつもの商会。ハロルドの店。

 木の看板に明かりが灯り、温かい光が窓越しに漏れている。

 リオンは扉を押し、店内へと足を踏み入れた。


「ハロルドさん、ちょっと見てほしいものがある」


 声をかけると、帳簿をつけていたハロルドが顔を上げる。

 リオンは袋から小さなライトを取り出し、手の中でスイッチを入れた。


 淡い光がふっと灯り、手元を柔らかく照らす。

 ハロルドは目を細め、興味深そうに覗き込んだ。


「ほう……小さいが、よく光るな。戦闘用というよりは、夜道や小屋で使うものか?」


「まだおもちゃみたいなものですけど、売れるかどうか聞きたくて」


 リオンは淡々と答え、さらに九本をテーブルに並べた。

 ハロルドは一本を手に取り、重さを確かめるように振ったり、光の広がりを見たりする。


「なるほど……これなら、試しに少量置いてみる価値はあるかもしれないな」


 リオンは静かに頷いた。


「では十本ほど置かせてください。売れそうなら追加で作ります」


「いいだろう。……で、値段は?」


 ハロルドの問いに、リオンは少し考えてから答える。


「まだ試作品なので、安めで」


 控えめに笑うリオン。

 光るだけでも珍しい。それだけで、きっと街の人々の興味を引ける。


 ハロルドは帳簿を閉じ、にやりと笑った。


「面白い玩具だ。さて、子供たちがどう反応するか、楽しみだな」


 リオンは深く一礼し、静かに店を後にする。

 小さな実験ではあるが、これは街での需要を確かめるための大切な一歩だった。


 夕闇の中、袋の中に残る一つのライトがかすかに光を放つ。

 それは、未来への希望のように小さく揺れていた。


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