第33話 初めてのライト
リベストの路地裏。薄暗い小屋の中。
リオンはゼルファが作ってくれた魔石入りの手袋をはめ、慎重に手元の装置に向き合っていた。
「よし……やってみるか」
小さく呟く声。
リオンは手袋越しに魔石の力を指先へと集中させた。
手袋が微かに光り、掌を通じて魔石の魔力がじんわりと伝わってくる。
小さなガラス管にミスリル粉を注ぎ、装置の歯車と管を丁寧に組み込んでいく。
魔力を直接扱えなくても、手袋がその役割を代わりに果たしてくれる。
「……よし」
リオンがスイッチ代わりのレバーを静かに倒す。
次の瞬間、ガラス管の中で粉が淡く光り始めた。
小屋の暗がりが、温かみのある光で満たされる。
小さな火花も爆発もなく、安定して灯る穏やかな輝き。
リオンの目が驚きと感動に見開かれた。
「……初めて、光を作れた」
その様子を見ていたゼルファが、腕を組みながら鼻を鳴らす。
「ほほう、やるじゃないか、小僧。魔力なしでも、ちゃんと光を制御できるとはな」
リオンはライトをそっと手に取り、装置や壁を照らす。
闇を切り裂くように広がる光。それはただの照明ではなく、新しい可能性の象徴だった。
「これで夜の探索も、もっと自由にできるな」
リオンは小さく笑みを浮かべ、掌の光を見つめる。
その光は、彼自身の努力と知恵が生んだ“初めての魔導の灯”だった。
こうしてリオンは、魔石入りの手袋を使い、初めての魔導ライトを完成させた。




