第30話 変人と出会い
リベストの街を歩いていると、酒場の片隅から耳に残る噂話が聞こえてきた。
「……あそこの路地で、奇妙な魔導装置を作ってる変わり者がいるらしいぜ」
「火花が散ったり、煙が吹き出したりして危ないらしい」
リオンの目が細くなる。
「……面白そうだ」
好奇心が胸をくすぐる。
戦場や森で磨いた直感が告げていた。ただの変人ではない。
夕暮れ、リオンは噂の路地へと足を向けた。
薄暗い小道に佇む木製の扉。その奥からは、金属の軋む音や小さな爆発音が絶え間なく響いてくる。
噂は本物らしい。
扉を押し開けると、そこには小さな部屋いっぱいに奇怪な装置が散乱していた。
歯車、管、光る水晶。複雑に絡み合い、理解を拒む仕組みが目に飛び込んでくる。
「……誰だ?」
振り返った男の目が、ぎらりと光を放った。
「俺は話を聞いて、面白そうだと思って来た」
リオンは淡々と答える。
男は驚いたように目を見開いたが、やがて口元に不敵な笑みを浮かべた。
「ほう……俺の噂を聞きつけたか。面白い奴だな」
リオンは散乱する装置を眺めながら、自然に問いかける。
「……ところで、名前は?」
男は胸を張り、誇らしげに名を告げた。
「ゼルファだ。魔導装置の発明家、ゼルファだ!」
リオンは微かに口角を上げる。
「……ゼルファか。覚えておこう」
こうして、街の変人。魔導発明家ゼルファとの奇妙な出会いが始まった。




