第24話 待ち伏せ
数日が過ぎた。
狩りと解体、保存食作り、そして銃の整備。セーフハウスの暮らしは快適そのものだった。
だが、リオンは自分一人だけで生きていくつもりはなかった。
情報も、金も、繋がりも、必要になる。
この森の外れには隣国へ抜ける街道があり、定期的に商人が通ることをリオンは知っていた。
戦場で培った耳、そしてメイドのクラリスから教わった領地事情。それらの記憶が、今や役立つ。
「……なら、待つだけだ」
リオンはセーフハウス近くの森の木陰に身を潜めた。
数日間、街道を監視しながら本命の盗賊を探し出す。
狩猟用の猟銃を抱え、物音を殺し、じっと待つ。
やがて街道の奥から、馬車の音が聞こえてきた。
商人たちの一行だ。
荷馬車二台、護衛が数人。
盗賊の狙いは明らかだった。
「商人が来た」
リオンは低く笑った。
商人を助ける。それはただの善意ではない。
助けた者は借りを返す。
そして、情報も人脈も手に入る。
森の木陰で、リオンは猟銃を静かに構えた。
盗賊たちが馬車に飛びかかろうとしたその瞬間、鉛の玉が闇を裂いた。




