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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


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第09話 クラリスの教え

 三ヶ月が過ぎ、屋敷での“隠れた自由時間”が板についた頃。

 リオンは今日も台所でクラリスと共に焼肉の準備をしていた。

 だが、今回はただの食事ではなく、知識の授業でもあった。


「リオン様、今日は少し教えたいことがあります」


 クラリスは手際よく肉を串に刺しながら言った。

 髪は淡い茶色でまとめられ、微笑みが落ち着きを与える。


「教える? 何を?」


 リオンは首を傾げる。子供の体だが、目は真剣だった。


「まずはお金のことです。アルベール領では、税収や収入を管理するのは非常に重要です」


 クラリスは屋敷の帳簿の簡略版を見せ、貨幣の扱い、物価、使用人たちの給与や領民の税金の仕組みを教えた。


「なるほど……貯めるだけじゃなく、流れも管理するのか」

 

 リオンは黙ってメモを取る。

 戦場で金や物資の管理をしてきた感覚が、ここでも役立つとすぐに理解した。


「次に国のこと。ここはレオルディア王国。この王国は北の山岳地帯から南の平野まで広がる大きな国です」


 クラリスは地図を広げ、王都や周辺領地、アルベール領の位置を示した。


「アルベール領は北西部にあり、山や森が多いので、狩猟や木材で生計を立てる領民が多いです」


「……なるほど、この国も領地ごとに特徴があるんだな」


 リオンはボウガンでの狩猟経験と照らし合わせ、森の多い領地の意味を理解した。

 クラリスはさらに細かい日常知識を教える。

 王国の貨幣単位、領主としての礼儀、屋敷内の上下関係、商人とのやり取りの基礎。

 そして、リオンが知りたがっていた「自分の立場と権利」も、やさしく説明してくれた。


「なるほど……俺の立場を理解しつつ、使える知識は全部使え、か」


 リオンは静かに笑みを浮かべた。

 泣き虫だった次男坊の記憶は遠くにある。

 今は、傭兵の冷徹さと貴族の知識が混ざり合った、少しずつ自立した少年だ。


 その日の授業が終わる頃、クラリスは言った。


「リオン様、知識は力です。お金も領地も、全て管理できれば、誰にも振り回されなくなります」


 リオンはうなずき、思った。

 この屋敷で、少しずつ自分の世界を作れる。

 そして、クラリスという信頼できる相棒がいる限り、どんな困難も乗り越えられる、と。


※クラリスの貨幣の教えとリオンの認識

・銅貨1枚=100円

・銀貨1枚=1000円

・金貨1枚=10000円

・白銀貨1枚=1000000円

 白銀貨は商人と貴族と王族しか使わない。


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