表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/108

プロローグ

 硝煙と鉄の臭いが、焦げついた空気の中に漂っていた。

 銃声、悲鳴、そして爆音。


 ここはどこの国でもなく、誰のための戦いでもない。

 俺がいたのは、ただの代理戦争。


 金をもらって銃を握り、知らない誰かを撃ち、知らない誰かに撃たれる。

 そんな場所だった。


 傭兵。

 それが俺の肩書きであり、俺の生き様だった。


 情など捨てたつもりでいた。だが最後の最後で、手が止まった。

 銃口の先にいたのは、まだ十歳にも満たない子供。


 怯えた目でこちらを見て、震える手で銃を構えていた。

 俺は引き金を引けなかった。


 その瞬間、子供の小さな指が震えながらも、俺に弾を放った。

 衝撃とともに視界が赤く染まり、俺は膝をつく。


 ああ、これが俺の終わりか。


 だが次に目を開けたとき、そこは戦場でも地獄でもなかった。


 無限に広がる白の空間。

 玉座のような椅子に腰かけ、荘厳な衣を纏った“何か”が俺を見下ろしていた。


「汝の生涯、戦いに塗れしものよ。死後にひとつだけ望みを与えよう。欲するものは何だ?」


 その声は男とも女ともつかず、神々しくも胡散臭い響きを持っていた。

 死後の願い? 天国? そんなものに興味はない。


 だが胸の奥からふと浮かんだのは戦地で心を削られたとき、ただ一人で息を潜めて眠れた、あの狭い空間だった。


「……日本のセーフハウスに帰りたい」


 気づけば、そう口にしていた。

 誰にも見つからず、ただ静かに生きられる隠れ家。

 あれこそが、俺が本当に望んでいたものだった。


 神のような存在は一瞬きょとんとし、そして笑った。


「面白い。我は汝にスキルを授けよう…。《家転移》」


 次の瞬間、意識が闇に呑まれた。


 そして目を覚ますと、そこは血溜まりの中だった。

〘ソラ〙と申します。

初めて投稿してみました。

皆様方、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ