第5話 拒絶される存在
村を後にして数日が経った。リクは新たな契約魔物である影狼を訓練しながら、ゴルムとともに次なる目標を模索していた。しかし、再び村に戻ったとき、村人たちの視線は冷たいものだった。
「魔物を連れて何を企んでいるんだ?」
「こんな危険なもの、村にいさせるべきじゃない!」
村人たちは集まり、リクを遠巻きに囲む。彼は必死に言い訳を試みた。
「俺の魔物は危険じゃない! 俺がきちんと管理している!」
しかし、その言葉は誰にも届かなかった。
「それを証明できるのか? 俺たちは信用できない!」
リクは唇を噛み、何も言い返せなかった。ゴルムと影狼は静かに彼の背後に立ち、主を守るように周囲を見渡していた。
そんなある日、リクの前に幼馴染であるアレンとミリアが現れた。アレンは剣を手にし、険しい表情を浮かべていた。
「リク、お前のやっていることは間違っている。」
「間違っている? 自分の力で生き抜こうとしているだけだ。」
「それが魔物を使うことか! 魔物は危険だ。お前だって、それが分からないはずがない。」
アレンの言葉には怒りが込められていた。そしてその後ろに立つミリアは、冷たい目でリクを見つめ、呪文を準備するように手を動かしていた。
「やめろ、アレン。俺は……!」
リクが言葉を紡ごうとした瞬間、ミリアが唱えた魔法が彼を狙った。光の矢が空を切り、リクの肩に深い痛みを刻む。
「ぐっ……!」
膝をついたリクの周りで、ゴルムと影狼が唸り声を上げる。しかし、アレンが剣を構えて警戒しているのを見て、リクは手を挙げて魔物たちを制止した。
「待て……動くな!」
アレンはさらに言葉を続けた。
「リク、お前が魔物を使う以上、俺たちはお前を止めるしかないんだ!」
その夜、リクは遺跡に戻り、負傷した肩を自ら治療していた。ゴルムと影狼は彼のそばで静かに座っていたが、その目には怒りと悲しみが宿っていた。
「俺は……何も間違ったことをしていないのに。」
リクは震える手で包帯を巻きながら、悔しさを噛み締めた。村人にも、幼馴染にも、そしてこの世界にも拒絶される現実。だが、その痛みが彼の中に新たな決意を燃え上がらせた。
「俺は、強くなる。」
彼は静かに立ち上がり、ゴルムと影狼を見つめた。
「俺自身がもっと強くなる。俺の魔物も守れるくらいに。そして、この世界で誰もが認めざるを得ない力を手に入れる。」
その言葉にゴルムと影狼が低い唸り声で応えた。リクは新たな目標を胸に刻み、古書を再び開いた。
「深淵の力――それはすべてを変える」
リクはその言葉に目を留めた。彼の心には、深淵へと足を踏み入れる覚悟がすでに芽生えていた。
「俺たちは進む。どんな痛みも、どんな困難も乗り越える。」
リクの旅は、さらに過酷なものへと進んでいく。だが、その先にある真の力を手にするために、彼は歩みを止めることはなかった。




