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第54話 信頼を得る道

ヴェラーノ市場での戦いが終わった翌日、リクはギルドの会議室にいた。


「……で、次は何をすればいい?」


バルド・ロエルがワインを飲みながら苦笑する。


「お前が市場を取り戻したのはいいが、まだ市民はお前を信用しちゃいねぇよ。」


リクはため息をつきながら、腕を組んだ。


「俺が貴族派閥を倒したんだ。普通ならそれで十分だろ?」


「甘いな。」


ライザが壁に寄りかかりながら口を挟む。


「お前は戦いには勝ったが、政治は別だ。市民が求めてるのは、安定した暮らしと経済だ。今のところ、お前がやったのは戦場を増やしただけだろ?」


「ぐっ……」


リクは反論できなかった。確かに市場を奪還したものの、それで終わりではない。


「つまり、俺は市民の信用を得るために何かやらなきゃならないってことか?」


「そういうことだ。」


バルドが地図を広げる。


「ここで問題になってるのは三つある。」


食料供給の不安定化 — 貴族派閥が撤退したことで、一部の商人が価格を吊り上げている。


魔族との関係 — ヴェラーノには人間と魔族の住民が混在しているが、貴族派閥がいなくなったことで、魔族を排除しようとする勢力が増えている。


税収の低下 — 市場の混乱で商人たちが税を払う余裕がなくなり、行政資金が不足している。


「どれも面倒くせぇな……」


リクが頭を抱えると、バルドは笑いながら肩をすくめた。


「だからこそ、お前がどうにかしないとダメなんだよ、影の王さんよ。」


「チッ……」


リクは地図を見つめながら考え込む。


「とりあえず、食料供給を何とかするのが先決か……。貴族派閥の倉庫に何か残ってないか?」


「いい考えだが、もうすでに荒らされちまってる。今残ってるのは、魔族の商人が持ってる物資くらいだな。」


「……ってことは、魔族と交渉するしかないってことか。」


ライザが腕を組みながらニヤリと笑う。


「お前が魔族と取引すれば、市民からは“魔族の王”なんて呼ばれるかもな。」


「余計なこと言うな!」


リクは頭を抱えながらも、決意を固めた。


「いいだろう。魔族の代表と話をつける。」


その瞬間、扉が勢いよく開かれた。


「影の王殿、あなたにお話があります。」


現れたのは、魔族の代表——ラグザ・ヴェルトだった。


「……俺が行く前に、向こうから来たか。」


リクはため息をつきながらも、魔族の交渉に応じることを決めた。

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