第53話 決着
ヴェラーノ市場の中央、リクとエドワードが対峙する。
「お前がここまでやるとはな、リク……!」
エドワードの剣が煌めく。彼の周囲には、貴族派閥の私兵たちが配置され、商人ギルドの傭兵とにらみ合っていた。
「だがな、この戦いは俺たち貴族の勝利で決まってる!」
リクは短剣を握りしめ、一歩前へ出る。
「……お前の“貴族”ってのは、市民を苦しめてでも維持する価値があるのか?」
「愚問だな。」
エドワードは笑いながら剣を構えた。
「この分断地帯を統治できるのは、我々貴族だけだ。貴族なくして秩序は生まれない!」
「はぁ……やっぱお前とは話が通じねぇな。」
リクは影狼に合図を送り、ゴルムが戦闘態勢に入る。市場の通りには緊張が走った。
「決着をつけるぞ、エドワード!」
エドワードが先手を取った。彼の剣は貴族特有の洗練された剣術で、隙のない動きでリクを追い詰める。
「チッ……さすがに鍛えられてるな。」
リクは影を操り、攻撃をかわしながら反撃を試みる。しかし、エドワードもまたその動きを見切っている。
「その程度の影使いで、俺に勝てると思うな!」
エドワードは強烈な突きを繰り出し、リクの肩をかすめた。
「……!」
「どうした、影の王? 俺はお前より格上だぞ!」
リクは息を整えながら、静かに影の力を高める。
「影の王が影を支配するんじゃない……影と共に戦うんだ。」
影の舞、発動!
リクの影が揺らめき、エドワードの剣の軌道を読み取る。次の瞬間、リクは影の中を移動し、エドワードの懐へと入り込んだ。
「なっ……!?」
「これで終わりだ!」
リクの短剣がエドワードの剣を弾き飛ばし、彼の胸元に突きつけられる。
「貴族が支配する時代は終わった。」
エドワードは歯を食いしばりながら、拳を握った。
「クソッ……! 俺が……俺が負けるだと……!?」
周囲の私兵たちが動揺する。商人ギルドの傭兵が一斉に武器を構え、貴族派閥の勢力を圧倒し始めた。
「この戦い、お前の負けだ。」
リクは短剣を引き、エドワードを突き飛ばす。
「チッ……この俺が……」
エドワードは悔しげに拳を握りしめながら、敗北を認めざるを得なかった。
エドワードの敗北により、貴族派閥の影響力は大きく後退した。市場の混乱は収束し、商人ギルドが新たな秩序を築くことになった。
バルドがニヤリと笑いながら、リクの肩を叩く。
「やるじゃねぇか、影の王さんよ。」
「……これで終わりじゃない。」
リクは市場を見渡しながら呟いた。
「まだ分断地帯の問題は山積みだ。俺たちは、ここからどうやって市民の信頼を得るかを考えなきゃならない。」
ライザが腕を組んで笑う。
「政治ってやつは、剣で勝っても終わらないってことか。」
リクは苦笑しながら、夜空を見上げた。
「影の王として、俺はまだやることがある。」
ヴェラーノ市場の戦いは終わった。しかし、分断地帯の統治を巡る戦いは、これからが本番だった——。




