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第50話 市場に忍び寄る闇

市場の価格を安定させ、投機商たちの動きを封じたリクだったが、それにより貴族派閥が次の一手を打ち始めた。


「影の経済制裁が成功したのはいいが、さすがに向こうも黙ってないな。」


リクはヴェラーノのギルドの一室で、バルドと向かい合っていた。


「まぁ当然だろうな。市場を動かすのは金だけじゃねぇ。連中は“恐怖”も使うんだよ。」


「……脅しってことか?」


バルドはニヤリと笑い、ワイングラスを傾けた。


「それだけなら可愛いもんだがな。今回は直接的なやり方を選ぶらしいぜ。」


その言葉が終わるや否や、扉の向こうから叫び声が聞こえた。


「ギャアァァ!」


リクとバルドは即座に立ち上がり、影狼とゴルムを伴って外に飛び出した。市場の片隅で、商人ギルドの関係者の一人が倒れ込み、その背後には黒いローブを纏った刺客が立っていた。


「……やはり来たか。」


ライザが屋根の上から飛び降り、短剣を構える。


「こいつら、貴族派閥の雇った暗殺者か?」


「間違いねぇ。市場の支配権を取り戻すためには、お前を排除するのが一番手っ取り早いって考えたんだろうよ。」


リクは短剣を抜き、刺客たちに向き合った。


「なら、そっちの思い通りにはさせない。」


刺客の一人が無言で飛びかかってくる。リクは影狼のスピードを利用し、攻撃を回避しながら短剣で反撃を試みるが、相手の動きは速く、的確だった。


「チッ……手練れか。」


影狼が敵の足元を狙い、ゴルムが影の刃を放つ。しかし、敵はまるで影そのものに溶け込むように姿を消した。


「これは……ただの暗殺者じゃねぇな。」


バルドが低く唸った。


「こいつら、“影の教団”の連中かもしれねぇ。」


「影の教団?」


「影を崇拝し、影そのものになろうとする狂信者たちだ。影の王の復活を望んでいる連中もいるって話を聞いたことがある。」


リクは短剣を強く握りしめた。


「つまり、俺を利用しようとしてる連中が、ここにもいるってことか。」


「そういうことだ。」


ライザが刺客の一人を倒しながら、軽く息をつく。


「市場の支配なんてどうでもいい。お前が生きてることそのものが、連中にとっては意味があるんだろうさ。」


リクは深く息を吐いた。


「……なら、こいつらもまとめて片付けるしかないな。」


影狼が低く唸り、ゴルムが構える。


「行くぞ……影の王として、ここで退くつもりはない。」


刺客たちとの本格的な戦闘が、幕を開ける——。

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